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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。
209.転生貴族令嬢レベッカ・ショアの情報は、どこから?
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レベッカ・ショアは、混乱していた。
混乱しすぎて、何を話せばいいのか、分からない。
レベッカ・ショアが淑女教育を受けていなかったことを、平民のクロッグ・カーブがどうして知っているのか?
レベッカ・ショアに淑女教育が施されていないから、とバネッサと侍女が教えるように手配してくれたのは、マーゴット、キャスリーヌ、バネッサ。
まさか、マーゴットかキャスリーヌが、クロッグ・カーブに話をした?
レベッカ・ショアの恥ずかしい話を、クロッグ・カーブに?
毎日、顔を合わせていたけれど、マーゴットもキャスリーヌも、おくびにも出さなかった。
どういうこと?
誰を信じたらいい?
一方。
バネッサは、冷静だ。
「クロッグ・カーブは、レベッカの事情に随分詳しいわね。興味津々で調べたの?」
とバネッサ。
バネッサの表情は変わらない。
チクリと嫌味を交えるあたりは、さすが、伯爵令嬢。
クロッグ・カーブは、顔をしかめる。
「オレが気に入っているみたいに言うのは、止めてください。こいつは、ご令嬢の風上にも置けないやつですよ。」
とクロッグ・カーブ。
以前のクロッグ・カーブは、レベッカに相手にされていなかったが、クロッグ・カーブ自身もレベッカを相手にしていなかった。
レベッカが、クロッグ・カーブに対して、
『自分は何もしないのに。誰かにやってもらうことばかりを要求するな!』
と叫んだ日の前は、全く交流がなく。
叫んだ後も、特になかった。
レベッカ・ショアは、バネッサと主に話し、残りは、マーゴット、キャスリーヌ、ベリーベリー・イニーと話すのみ。
スラッルス・トークンともろくに会話をしていない。
それなのに。
クロッグ・カーブが、レベッカ・ショアを軽蔑するほど嫌う理由はどこにある?
「詳しすぎて、疑いしかないわ。」
とバネッサ。
「バネッサに誤解されたまんまは、ナユカ様の手前良くないんで、話しますけど。
ナユカ様と話さなくなってから、バネッサは、こいつとばかり話すようになったんで、ナユカ様が気にしたんですよ。
こいつ、調べてみたら、ろくなもんじゃないですよね?
ナユカ様と大違い。
こいつには、ご令嬢を名乗る資格なんかありません。」
とクロッグ・カーブ。
レベッカ・ショアをこいつ呼ばわりするクロッグ・カーブは、嫌いすぎて、レベッカ・ショアの名前を口にしたくないようだ。
「調べるといっても、平民で男子学生の貴方に、聞く相手がいたの?」
とバネッサ。
「本当に、バネッサは、酷いですよね。
オレを平民、平民、と馬鹿にして。
生まれがなんだってんだ、ちきしょー。」
とクロッグ・カーブ。
クロッグ・カーブは、叫ぶと落ちついた。
「オレ、ナユカ様の部下ですから。
お話してくれた人はたくさんいましたよ。」
と誇らしげなクロッグ・カーブ。
「女社会の噂話を聞いてまわったの?」
とバネッサ。
随分と下世話な商人がいたものだ。
「こいつのろくでなしさを保証してくれる人物からも話を聞いていますから、確かですよ。」
とクロッグ・カーブ。
「女の噂話を鵜呑みにして言うことではないわ。」
とバネッサ。
社交界の噂話なんて、政治の綱引き。
真相なんて、どぶさらいしても、出てくるかどうか。
「噂話?違いますって。
ちゃんとした情報をくれましたよ。
これ以上ないくらいの。
なにしろ、こいつに酷い目に遭って、逃げてきた人の実体験ですよ。
信憑性あり過ぎですよ。」
とクロッグ・カーブ。
「私から逃げた?」
レベッカ・ショアの声が震える。
動悸がする。
レベッカ・ショアの元から立ち去った人物なんて、1人しか思い当たらない。
「こいつ、今頃、反省しているんですかね?それとも、バレないと思ってタカを括っていた悪事を暴露されて、慌てているんですかね?ざまーみろ。どう思います?バネッサ。」
と、レベッカ・ショアをあざ笑うクロッグ・カーブ。
「その人物は、誰なの?」
とバネッサ。
「侍女ですよ。こいつの。」
とクロッグ・カーブ。
混乱しすぎて、何を話せばいいのか、分からない。
レベッカ・ショアが淑女教育を受けていなかったことを、平民のクロッグ・カーブがどうして知っているのか?
レベッカ・ショアに淑女教育が施されていないから、とバネッサと侍女が教えるように手配してくれたのは、マーゴット、キャスリーヌ、バネッサ。
まさか、マーゴットかキャスリーヌが、クロッグ・カーブに話をした?
レベッカ・ショアの恥ずかしい話を、クロッグ・カーブに?
毎日、顔を合わせていたけれど、マーゴットもキャスリーヌも、おくびにも出さなかった。
どういうこと?
誰を信じたらいい?
一方。
バネッサは、冷静だ。
「クロッグ・カーブは、レベッカの事情に随分詳しいわね。興味津々で調べたの?」
とバネッサ。
バネッサの表情は変わらない。
チクリと嫌味を交えるあたりは、さすが、伯爵令嬢。
クロッグ・カーブは、顔をしかめる。
「オレが気に入っているみたいに言うのは、止めてください。こいつは、ご令嬢の風上にも置けないやつですよ。」
とクロッグ・カーブ。
以前のクロッグ・カーブは、レベッカに相手にされていなかったが、クロッグ・カーブ自身もレベッカを相手にしていなかった。
レベッカが、クロッグ・カーブに対して、
『自分は何もしないのに。誰かにやってもらうことばかりを要求するな!』
と叫んだ日の前は、全く交流がなく。
叫んだ後も、特になかった。
レベッカ・ショアは、バネッサと主に話し、残りは、マーゴット、キャスリーヌ、ベリーベリー・イニーと話すのみ。
スラッルス・トークンともろくに会話をしていない。
それなのに。
クロッグ・カーブが、レベッカ・ショアを軽蔑するほど嫌う理由はどこにある?
「詳しすぎて、疑いしかないわ。」
とバネッサ。
「バネッサに誤解されたまんまは、ナユカ様の手前良くないんで、話しますけど。
ナユカ様と話さなくなってから、バネッサは、こいつとばかり話すようになったんで、ナユカ様が気にしたんですよ。
こいつ、調べてみたら、ろくなもんじゃないですよね?
ナユカ様と大違い。
こいつには、ご令嬢を名乗る資格なんかありません。」
とクロッグ・カーブ。
レベッカ・ショアをこいつ呼ばわりするクロッグ・カーブは、嫌いすぎて、レベッカ・ショアの名前を口にしたくないようだ。
「調べるといっても、平民で男子学生の貴方に、聞く相手がいたの?」
とバネッサ。
「本当に、バネッサは、酷いですよね。
オレを平民、平民、と馬鹿にして。
生まれがなんだってんだ、ちきしょー。」
とクロッグ・カーブ。
クロッグ・カーブは、叫ぶと落ちついた。
「オレ、ナユカ様の部下ですから。
お話してくれた人はたくさんいましたよ。」
と誇らしげなクロッグ・カーブ。
「女社会の噂話を聞いてまわったの?」
とバネッサ。
随分と下世話な商人がいたものだ。
「こいつのろくでなしさを保証してくれる人物からも話を聞いていますから、確かですよ。」
とクロッグ・カーブ。
「女の噂話を鵜呑みにして言うことではないわ。」
とバネッサ。
社交界の噂話なんて、政治の綱引き。
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「噂話?違いますって。
ちゃんとした情報をくれましたよ。
これ以上ないくらいの。
なにしろ、こいつに酷い目に遭って、逃げてきた人の実体験ですよ。
信憑性あり過ぎですよ。」
とクロッグ・カーブ。
「私から逃げた?」
レベッカ・ショアの声が震える。
動悸がする。
レベッカ・ショアの元から立ち去った人物なんて、1人しか思い当たらない。
「こいつ、今頃、反省しているんですかね?それとも、バレないと思ってタカを括っていた悪事を暴露されて、慌てているんですかね?ざまーみろ。どう思います?バネッサ。」
と、レベッカ・ショアをあざ笑うクロッグ・カーブ。
「その人物は、誰なの?」
とバネッサ。
「侍女ですよ。こいつの。」
とクロッグ・カーブ。
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