上 下
201 / 763
第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

200.転生貴族スラッルス・トークン。『行き詰まったときは、本質を見失わないで、結果を出すことを考えよー。』

しおりを挟む
スラッルス・トークンは、マーゴットが、打つ手がないと困っている理由を聞いた。
「マーゴットは、マーゴットが探していると、誰にもバレずに、探したいんだよなー?」
とスラッルス・トークン。

「そう。」
とマーゴット。

「それで、行き詰まっているんだろ?」
とスラッルス・トークン。

マーゴットは、うん、と頷く。

「探しているのがバレたくないのは、バレたら困る理由があるよなー。どんな理由?」
とスラッルス・トークン。

何が?
マーゴットは、考える。

マーゴットは、
キャスリーヌ、バネッサ、レベッカ・ショアに、
レベッカ・ショアが狙われる可能性が高いことを告げて、レベッカ・ショアが狙われる前に強くしたいと考えている。

マーゴットが、レベッカ・ショアを強くしたいのは、レベッカ・ショアへの友情からではなく、バネッサの侍女として、最近レベッカ・ショアが役に立ってきているので、今後も仕事に打ち込んでもらうためである。

レベッカ・ショアは、元気にバネッサの侍女見習いを続けていく予定が、マーゴットの中には出来上がっている。

それなのに。
『魔法の進化』の研究の素材として、持っていかれるのは、業腹である。

持っていかれるのを指をくわえて見ている気はない。

スラッルス・トークンのときは、本人が助けを求めないなら、最終的に助けなくても構わない、と、マーゴットは考えていた。

でも。
マーゴットが、こんなに、目をかけているレベッカ・ショアを、マーゴットに黙って持っていこうとしている連中がいるのは、許すまじ、である。

だから。
レベッカ・ショアを狙っている連中が、マーゴットの知らないところで、レベッカ・ショアにちょっかいをかけるような真似をしたら、ただじゃおかない。

そのために、
レベッカ・ショア本人とバネッサに危機感を持たせたい、と最初は考えていた。


しかし。
危機感を持たせるだけでは、遅いし、足りない。
と、マーゴットは、気づいた。

今日、狙われる可能性に思い至ったから。

マーゴットは、考えがまとまった。
「今日、わたし達は、クークード遺跡という魔法が使いたい放題の密室にいる。
全員、自分の遊びに夢中。
今日、ここで、事件や事故が起きても、目撃者がないまま、闇に葬ることができる。いち早く、キャスリーヌ、バネッサ、レベッカ・ショアの安全を確保したい。」
とマーゴット。

「ボスの希望を叶えるぜー。えいえいおー。」
とスラッルス・トークン。

「バレないで探すことに、行き詰まったんだったら。」
とスラッルス・トークン。

「目撃者を作らないんじゃなく、全員を目撃者にしてしまう。全員が知っている情報にして、全員に関わりを持たせてしまえば、秘密にならないから価値が下がる。」
とスラッルス・トークン。

「目から鱗。」
とマーゴット。

「なんでバレたくない?」
とスラッルス・トークン。

「レベッカ・ショアが弱いとみなされると、遠慮なく攻撃されたり、人質にされたりする危険がある。
レベッカ・ショアに何かあると。
わたしとキャスリーヌとバネッサが対処することになる。
レベッカ・ショアを危険にさらさないのが、わたし達にとって一番いい。」
とマーゴット。

「レベッカ自身に加えて、キャスリーヌとバネッサを人質にされないように、攻撃されたりしないようにしたい、んだよなー?
そのために、レベッカとバネッサ、キャスリーヌに危険を警告したい。こっそりと。」
とスラッルス・トークン。

「今日、攻撃の可能性がある。」
とマーゴット。

「目撃者を作らないんじゃなく、目撃者を増やそーや。」
とスラッルス・トークン。

「目撃者を増やす?」
とマーゴット。

「目撃者がいすぎて、誰かが何かをしたら、バレバレになるくらい、注目の的にしちまおー。」
とスラッルス・トークン。

「どのように?」
とマーゴット。

「探すのも、探されるのも。クークード遺跡にいる全員が参加。」
とスラッルス・トークン。

「どうする?」
とマーゴット。

「クークード遺跡の引き継ぐ者に名乗りを上げる。ゲームを提案して、楽しかったら、応援してくれ、と言う。俺が。」
とスラッルス・トークン。

「ゲーム?」
とマーゴット。

「捜し物を当てようゲームをする。」
とスラッルス・トークン。

「参加者は、俺達の捜し物を当てて、俺達を案内して、早い者勝ちで正解したら、勝ち!」
とスラッルス・トークン。

「悪くない。」
とマーゴット。

「ベストだろー?そこは、絶賛しよー。」
とスラッルス・トークン。

「無責任なことはしない。」
とマーゴット。

「無責任ってな。で?のるかそるか?」
スラッルス・トークンは、いたずらっ子のように、ニヤッと笑った。

「魔法は無制限で使用!」
とマーゴット。

「楽しめそーだろ?」
とスラッルス・トークン。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

何とか言ったらどうなんだ!

杜野秋人
ファンタジー
「そなたとの婚約を、今この場で破棄する!」 王妃陛下主催の夜会の会場にて、王子は婚約してわずか3ヶ月の婚約者に婚約破棄を通告した。 理由は『婚約者たる王子に対して無視を続け愚弄した』こと。 それに対して婚約者である公爵家令嬢は冷静に反論するも、王子にその『言葉』は全く届かない。 それもそのはず。令嬢は王子の思いもよらぬ方法で語りかけ続けていたのだから⸺。 ◆例によって思いつきでサクッと書いたため詳細な設定はありません。主人公以外の固有名詞も出ません。 比較的ありがちなすれ違いの物語。ただし、ちょっと他作品では見ない切り口の作品になっています。 ◆仕様上選択しなくてはならないし女性主人公なので「女性向け」としていますが、本来は性別問わず広く問われるべき問題です。男女問わず読んで頂き向き合って下さればと思います。 ◆話の都合上、差別的な表現がありR15指定しております。人によってはかなり不快に感じるかと思いますので、ご注意願います。 なお作者およびこの作品には差別を助長する意図はございませんし、それを容認するつもりもありません。 ◆無知と無理解がゆえにやらかしてしまう事は、比較的誰にでも起こり得る事だと思います。他人事ではなく、私(作者)も皆さん(読者)も気をつけましょうね、という教訓めいたお話です。 とはいえ押し付ける気はありません。あくまでも個々人がどう考えどう動くか、それ次第でしかないと思います。 ◆なろう版で指摘頂いたので恋愛ジャンルからファンタジージャンルに変更します。恋愛ものと思って読んで下さった皆さまごめんなさい。 ◆この話も例によって小説家になろうでも公開致します。あちらは短編で一気読み。 ◆なろう版にて多くの感想を頂いています。 その中で「声が出せない以外は健康で優秀」という設定に違和感があるとご指摘を頂きました。確かに障碍というものは単独で発現するものではないですし、そのあたり作品化するにあたって調べが足りていなかった作者の無知によるものです。 ですので大変申し訳ありませんが、現実世界ではない「魔術もある異世界」の話ということで、ひとつご容赦願えればと思います。誠に申し訳ありません。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話

ルジェ*
ファンタジー
 婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが─── 「は?ふざけんなよ。」  これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。 ********  「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください! *2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

処理中です...