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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。
192.『家の力をあてにしなくちゃ、勝てない、とでも?』
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スラッルス・トークンは、戦争について考えていなかった。
でも、さすがに、あの場面で、頼っていいかと切り出したら、断られるとは想定していなかった。
下手には出ていたけど、断られることはない、とタカを括っていた。
よって。
今、精神的にダメージを受けている。
今日は、うまく、心が切り替えられない。
いつもは、大丈夫だったのに。
なんでだ?
急に情報が、押し寄せてきたから?
学生とは、仲良くなったから、ニンデリー王立学園に誘ってもらったと浮かれていた。
誘った理由は、研究の素材として?
人として、じゃない?
スラッルス・トークンが、かつて、クロッグ・カーブに話して聞かせたように。
スラッルス・トークンが、ニンデリー王立学園に入学して、学生をしているのは、トークン家が、スラッルス・トークンの入学に同意したから。
そう。
12歳の子どもが、貴族である親の同意なしに、外国の寄宿学校に進学などできるわけがない。
ニンデリー王立学園に誘ったのは、ニンデリー王立学園の在学生。
ニンデリー王立学園に行きたいと希望したのは、スラッルス・トークン。
スラッルス・トークンのニンデリー王立学園入学を認めて、学費や寮費を出したのは、トークン家。
トークン家とニンデリー王立学園の間で、スラッルス・トークンの入学について、話し合いの末、合意に至った結果が、スラッルス・トークンの学生生活だとしたら?
逃げ場はある?
逃げられる?
考えれば、考えるほど、追い込まれていく。
「覚悟。覚悟と言われても。何がなんだか。」
と力なく呟くスラッルス・トークン。
「この話の期限は、今日、クークード遺跡を出るまで、とする。クークード遺跡を出てからする会話ではない。」
とマーゴット。
「わたしからは、この話を持出すことはしない。」
「期限内に、貴方から、わたしに話を持ってこない限り、この話は流れる。」
マーゴットは、言うべきことを言ってしまうと、先に行くわ、と、1人で歩き出した。
スラッルス・トークンは、マーゴットの後ろ姿を目で追う。
ああ。本物のお嬢様なんだ。
生まれも育ちも。
マーゴットの後ろ姿を見ていると、唐突にそう思った。
家の権力をあてにして、マーゴットに近寄ってくる人間は、ごまんといるだろう。
家の援助を期待されて、断ることは、マーゴットの人生で少なくなかっただろうし、この先も、増え続けることだろう。
最初から。
マーゴットは、クークード遺跡に自由に遊びに来たいという自分の望みを、家の力ではなく、スラッルス・トークンからの見返りとして、実現しようとしていた。
マーゴットは、示してくれていた。
マーゴットの誠意を。
マーゴットの誠意をスルーして、勝手に大船に乗ったつもりになり、乗船拒否されて落ち込んでいるのが、スラッルス・トークンだ。
マーゴットは、決して、薄情なんかじゃない。
げんに、スラッルス・トークンは、マーゴットの背中を見ている。
見知らぬ人には、絶対に背中を見せようとしないマーゴット。
危機意識の高いマーゴットが、スラッルス・トークンには、背中を見せている。先に行く、と断ってまで。
俺、マーゴットに、めちゃくちゃ信頼されている。
スラッルス・トークンは、気づいた。
やべーわ。
俺、マーゴットの家の話を聞いてから、マーゴットの家のことしか、考えていなかった。
助けてもらえて、安心だって。
マーゴットは、俺自身を見て、自分が手を差し伸べると合図してくれていたのに。
あー。
めちゃくちゃ、カッコ悪い。
覚悟がないって、言われるわけだ。
マーゴットは、俺を助けようと覚悟を決めて、最初から、家と自分自身を切り離して考えてくれていた。
最低だ、俺。
12歳のお嬢様が、家の力に頼らないで、俺を助けようと、覚悟をみせてくれたのに。
『家の力じゃないんだ?がっかりだよ。』
なんて言っちまった!
うわあ。
そりゃ、マーゴットは、拒否するよ。
絶縁状をつきつけないなんて、偉いよ、マーゴット。
ごめん、マーゴット。
ありがとう、マーゴット。
すぐに、追いつくから。
まずは、謝らせてくれ。
次に、礼を言わせて欲しい。
それから、これからも、よろしく!
「マーゴット!」
スラッルス・トークンは、早足で、マーゴットを追いかける。
でも、さすがに、あの場面で、頼っていいかと切り出したら、断られるとは想定していなかった。
下手には出ていたけど、断られることはない、とタカを括っていた。
よって。
今、精神的にダメージを受けている。
今日は、うまく、心が切り替えられない。
いつもは、大丈夫だったのに。
なんでだ?
急に情報が、押し寄せてきたから?
学生とは、仲良くなったから、ニンデリー王立学園に誘ってもらったと浮かれていた。
誘った理由は、研究の素材として?
人として、じゃない?
スラッルス・トークンが、かつて、クロッグ・カーブに話して聞かせたように。
スラッルス・トークンが、ニンデリー王立学園に入学して、学生をしているのは、トークン家が、スラッルス・トークンの入学に同意したから。
そう。
12歳の子どもが、貴族である親の同意なしに、外国の寄宿学校に進学などできるわけがない。
ニンデリー王立学園に誘ったのは、ニンデリー王立学園の在学生。
ニンデリー王立学園に行きたいと希望したのは、スラッルス・トークン。
スラッルス・トークンのニンデリー王立学園入学を認めて、学費や寮費を出したのは、トークン家。
トークン家とニンデリー王立学園の間で、スラッルス・トークンの入学について、話し合いの末、合意に至った結果が、スラッルス・トークンの学生生活だとしたら?
逃げ場はある?
逃げられる?
考えれば、考えるほど、追い込まれていく。
「覚悟。覚悟と言われても。何がなんだか。」
と力なく呟くスラッルス・トークン。
「この話の期限は、今日、クークード遺跡を出るまで、とする。クークード遺跡を出てからする会話ではない。」
とマーゴット。
「わたしからは、この話を持出すことはしない。」
「期限内に、貴方から、わたしに話を持ってこない限り、この話は流れる。」
マーゴットは、言うべきことを言ってしまうと、先に行くわ、と、1人で歩き出した。
スラッルス・トークンは、マーゴットの後ろ姿を目で追う。
ああ。本物のお嬢様なんだ。
生まれも育ちも。
マーゴットの後ろ姿を見ていると、唐突にそう思った。
家の権力をあてにして、マーゴットに近寄ってくる人間は、ごまんといるだろう。
家の援助を期待されて、断ることは、マーゴットの人生で少なくなかっただろうし、この先も、増え続けることだろう。
最初から。
マーゴットは、クークード遺跡に自由に遊びに来たいという自分の望みを、家の力ではなく、スラッルス・トークンからの見返りとして、実現しようとしていた。
マーゴットは、示してくれていた。
マーゴットの誠意を。
マーゴットの誠意をスルーして、勝手に大船に乗ったつもりになり、乗船拒否されて落ち込んでいるのが、スラッルス・トークンだ。
マーゴットは、決して、薄情なんかじゃない。
げんに、スラッルス・トークンは、マーゴットの背中を見ている。
見知らぬ人には、絶対に背中を見せようとしないマーゴット。
危機意識の高いマーゴットが、スラッルス・トークンには、背中を見せている。先に行く、と断ってまで。
俺、マーゴットに、めちゃくちゃ信頼されている。
スラッルス・トークンは、気づいた。
やべーわ。
俺、マーゴットの家の話を聞いてから、マーゴットの家のことしか、考えていなかった。
助けてもらえて、安心だって。
マーゴットは、俺自身を見て、自分が手を差し伸べると合図してくれていたのに。
あー。
めちゃくちゃ、カッコ悪い。
覚悟がないって、言われるわけだ。
マーゴットは、俺を助けようと覚悟を決めて、最初から、家と自分自身を切り離して考えてくれていた。
最低だ、俺。
12歳のお嬢様が、家の力に頼らないで、俺を助けようと、覚悟をみせてくれたのに。
『家の力じゃないんだ?がっかりだよ。』
なんて言っちまった!
うわあ。
そりゃ、マーゴットは、拒否するよ。
絶縁状をつきつけないなんて、偉いよ、マーゴット。
ごめん、マーゴット。
ありがとう、マーゴット。
すぐに、追いつくから。
まずは、謝らせてくれ。
次に、礼を言わせて欲しい。
それから、これからも、よろしく!
「マーゴット!」
スラッルス・トークンは、早足で、マーゴットを追いかける。
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