子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

191.『貴方は、貴方のために、わたしの家とニンデリー王国を戦争させたいの?』『貴方が、生き延びたいのなら、味方につける相手は、誰?』

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マーゴットは、即答しなかった。
「イーハン教授が、わたしのいるときに、スラッルス・トークンと話をしたのは、スラッルス・トークンの今の行動をよんでいたから。」

「そうか、凄い教授なんだな。」
とスラッルス・トークン。

「わたしが、教授に質問したのは、教授の意図に気づいたから。」
とマーゴット。

「『ガランの御息女』というやつか。」
とスラッルス・トークン。

「わたしの要求は、スラッルス・トークンが、生き延びて、クークード遺跡を引き継ぎ、わたしの出入りを最優先にすると保証すること。」
とマーゴット。

「それじゃ、頼っていいのか?俺。」
とスラッルス・トークン。

「頼るのは、良くない。スラッルス・トークン自身が強く賢くならないと、生き延びられない。」
とマーゴット。

「えーと、失礼ながら、マーゴットのお家のご助力は?」
と恐る恐る尋ねるスラッルス・トークン。

「わたしの家に、ニンデリー王国と戦争をしてくれ、と?貴方のために?」
マーゴットは、ジロッとスラッルス・トークンを睨む。

「いや、何かあれば匿ってほしいと。え?戦争?」
慌てるスラッルス・トークン。

「ニンデリー王国は、魔法がない世界からの異世界転生者を研究に使う実験を『魔法の進化』として、秘密裏に推し進めた。
学問の域を超えて、国策として。」
とマーゴット。

マーゴットの瞳は、いつにもまして、力強い。
「ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園の学生のスラッルス・トークンは、研究に使われる予定の学生。
ニンデリー王国にすれば、既に確保した素材同然。
手中にある素材を横から掻っ攫う行為は、戦争を誘発する。」
とマーゴット。

「先に宣言しておくわ。聞いてから判断しなさい。」
マーゴットは、自身より背の高いスラッルス・トークンを毅然と見上げる。

「わたしは、貴方のために、わたしの家とニンデリー王国を戦争させる気など、全くない。
貴方のために戦争する家があるとしたら、貴方が家名を背負う家。」
とマーゴット。

家名を背負う家と言われて、スラッルス・トークンの心は、ちくりと痛んだ。

トークン家は、スラッルス・トークンのために戦ってはくれない。
スラッルス・トークンも、トークン家のために、戦う選択肢はないけれど。

自分の家をあてにできないことが、こんなに心細いとは。
スラッルス・トークンは、俯きたくなった。

マーゴットは、スラッルス・トークンを真っ直ぐ見上げている。
「スラッルス・トークン。わたしの家をあてにするなら、わたしは一切の援助をしない。」

スラッルス・トークンと、トークン家がうまくいっていないだろうことに察しはついているマーゴット。

「貴方が、貴方自身の力で勝負に勝つ決心がついたら、頼みに来なさい。
貴方の覚悟を見たら、わたし、マーゴット・ガランが援助する。」

家でもなく、他の誰でもなく、わたし、マーゴット・ガラン自身を貴方の味方につけなさい、スラッルス・トークン。

マーゴットの輝く瞳は、スラッルス・トークンの俯きたい気持ちの滲んだ瞳をとらえていた。
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