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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

188.『クークード遺跡を出たら、その言葉を発してはいけない。心のままに生きたいのなら、引き継ぐ者を目指しなさい。』

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「郷愁ですか?」
とスラッルス・トークン。

イーハン教授は、何か察することがあるのだろうか。

マーゴットは、何も言わない。

「郷愁だ。感じることは、あるかい?」
とイーハン教授。

「懐かしいか?と言われたら、懐かしいかもしれませんが。
遊び方が想像以上だったので、懐かしさより、度肝を抜かれました。」
とスラッルス・トークン。

「素直な心だ。引き継ぐ者を目指して、引き継ぐ者になるといい。引き継ぐ者になれば、素直な心を守れる。」
とイーハン教授。

「郷愁というのは、引っ掛け、でしょうか?」
とマーゴット。

「ガランの御息女か。ガランは、引き継ぐ者にはならないかね?」
とイーハン教授。

「不特定多数が出入りする場所を所持すると、危険性が高まります。
遊びにいく分には、楽しめますが。」
とマーゴット。

「そうだね。」
とイーハン教授。

「郷愁は、引っ掛けというのは、何?」
とスラッルス・トークン。

マーゴットは、ゆったりと話す。
「郷愁、その通り、と答えた人は、引き継いでいないということ。
郷愁が強いと、元の形から変化したものに抵抗感が出てくる。
クークード遺跡にあるものは、異世界のものを、この世界の住人が楽しむために作りかえた作品。

本来の姿は、違うのに。
元の形が恋しい。
そういう風に考えると、クークード遺跡に対して、許せなくなってしまう。」

「だから、郷愁を感じる人は、弾かれる。
クークード遺跡をありのままの姿として、受け入れて残したいと思える人が、引き継いでいる。
イーハン教授、違いますか?」

マーゴットに問われたイーハン教授は、ニコニコしてマーゴットを見ていた。

「よく考えたね。」
とイーハン教授。

「スラッルス・トークンに引き継ぐ者を勧めていらっしゃるのは、スラッルス・トークンの身辺か、将来を危惧してのものでしょうか?
差し支えなければ、お聞かせください。」
とマーゴット。

スラッルス・トークンは、マーゴットの言葉を聞いて、青ざめた。

「なんか、俺、まずいことになっていますか?」
とスラッルス・トークン。

「まだ。何も。ただ、引き継ぐ者を目指すことは公言するようにしなさい。」
とイーハン教授。

イーハン教授は、学内事情に詳しいかも、と考えたスラッルス・トークンの口は勝手に開いた。

「イーハン教授は、ご存知ですか?
ヒイロ・ゼーゼ教授に師事して『魔法の進化』を研究していた学生とヒイロ・ゼーゼ教授が、学内に見当たらないんです。」
とスラッルス・トークン。

「『魔法の進化』か、よく知っていたね。学生か、ゼーゼ教授か。誰かに誘われたかね?」
とイーハン教授。

「はい。学生に。学校で見ないんですが、どこで何をしているか、ご存知ありませんか?」
とスラッルス・トークン。

イーハン教授は、穏やかだが、スラッルス・トークンを言い含めるように話した。
「スラッルス・トークン。君が、君の心のままに、人生を送ることを願っているなら忠告しよう。

次の言葉は、クークード遺跡を出た瞬間から、決して外に出してはいけない。

私も聞かなかったことにする。

『魔法の進化』。

ヒイロ・ゼーゼ教授の名前。

『魔法の進化』の研究に君を誘った学生の名前。

『魔法の進化』の研究に、関係者から誘われたこと。

いいね。
それから、本気で、引き継ぐ者を目指しなさい。」
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