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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

170.凄んでみました。『あー、いるいる。』『ポピュラーね。』『手を出してこないのは、頭を使ったわね。』え?君たち。貴族のご令嬢だよね?

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マーゴット、キャスリーヌ、バネッサは、スラッルス・トークンの変化にも、ふーんと態度を変えない。

ベリーベリー・イニーは、和やかさがなくなって、びっくり。

でも、まあ。
面子は大事だよね?
と静観するベリーベリー・イニー。

クロッグ・カーブだけ、びくついている。

びくつくぐらいなら、最初から腹をくくれや!とスラッルス・トークンは思うが、仕方ない。

やる時はやらねば。

「おい。平民がよ、貴族の時間を使っておいて、何もありませんでしたー、で済むと思ったんか?ああ?」

クロッグ・カーブは、昨日も、同じ内容で、凄まれたことをやっと思い出したようだ。

「ええと。その。なんというか。
頼んだわけじゃないというか。
なんか、そういう流れで、ここまで来たけど。
謝ったほうがいいって乗り気だったのは、スラッルスの方で。
オレとしては、別に、ていうか。
わざわざ謝る必要は、感じてないのに、行くの?というのが、あったし。
こう、やる気が出せないっていうか。」

クロッグ・カーブは、言い訳をしようとして、盛大にボロを出し始めた。

テメエは、自虐趣味なんか?
死にたがりなんか?

俺、なんで、こんなクソみたいなガキを躾けようと思ったんだ?

ああ。

本人もクソだけど、周りがもっとクソしかいないからか。

そうだな。
そんな、クソだらけの世界で、俺には、居場所を作ってくれた人がいたんだよ。

俺が、かつての自分を見ている気分になっちまったんだなー。

俺が、勝手に、躾けようという気分になっちまったもんな。
クロッグ・カーブの意思とは関係なく。

義理もなんもないけどなー。

それでも。

見捨てる選択肢がねえんだよなー、俺には。

「テメエ、貴族ナメんのもたいがいにしろや。
切り刻まれたいんか?
バラして売り飛ばされたいんか?
いくらかでも、値段がつくとええなあ、おい。
テメエの命をポイっとしたところでなー、即金で払える迷惑料じゃなかったら、な?
どうするか、分かるか?
まずは手足を一本ずつ、落としてから、残りは年季あけるまで、稼がせんぞ。
コラ。」

アンポンタンのクロッグ・カーブは、言葉通りに想像したらしく、歯をガチガチさせている。

「そんで、テメエ。平民のテメエは、貴族の俺に言うこと、あるよなー?」


こんな可愛いお嬢様を前にして、昔取った杵柄で、凄まなくちゃならんとは。

本当に、俺は、このアンポンタンなクロッグ・カーブの救世主になるために、転生したんじゃないよなー。

嫌だぞ、そんなの。
可愛い少女に怖がられるだけのために、転生したなんて。

「わ、分かりません。」
とクロッグ・カーブ。

素直だけど、そうじゃねえ。

おい、クロッグ・カーブ。

テメエ、いつ、謝るんだよ?

今こそ、迷惑かけて、ゴメンナサイ、を言うタイミングだろうが!
このアンポンタンめ!

「テメエ。貴族に聞かれて、分かりません、だあ?人生捨てる気満々だな。ああ?」

さすがに、あんまりやるとお嬢様達が、恐怖で眠れなくなっちまう。

このへんで、決めとくか。

「生きていて、ゴメンナサイするくらいに、反省するなら、俺の面子のために、仕事をしてこいや。」

「な、なんでしょう?」
クロッグ・カーブ、泣いていやがる。

泣くくらいなら、昨日も同じ目にあってんだから、学習しろや、アンポンタン。

「お嬢様方からのご依頼を受けて、必ず成功させやがれ!俺の面子にかけて!」

「あ、あ、はい。そうします。」
ぐずぐず泣きながら返事をするクロッグ・カーブ。

俺は、お嬢様3人と平民の少女に向き直った。

「ああ。まあ、そういうことなんで、使ってくれ。
俺への迷惑料は、あんた達がこいつを働かせて、結果に満足したら、チャラにする。」
俺が言うと。

「昨日、報酬の話だけで、依頼の話をする暇がなかったから、報酬をなしにすればいいわね?」
と美少女が、茶色の髪と瞳の2人に同意を求めた。

「ちょうど、いい案件もある。」
と小さい方。

「手綱握れる人間がいたら、働くよねー。」
と髪と瞳の茶色が濃い方。

ん?
ん?

お嬢様3人共、ケロッとしているんだが?

クロッグ・カーブは、ぐずぐずに泣いているぞ。
2日続けて。

「怖くないのか?」
ポロっと聞いてしまった。

「まあ。いるわよ。」
と美少女。

どこに?
美少女は、修羅の国に住んでるのか?

「ポピュラーな方法だし。」
と濃い茶色の髪と瞳の少女。

「実際に、傷を負わせることなく、目的を達成した手腕は見事。」
と小さい少女。

「はあ、ありがとう。」
条件反射で、褒められたから、礼を言っていた。

しかしなー。

「お嬢様方は、こういうの、慣れてんのか?」
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