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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

161.スカウトするつもりで、声をかけにいったら、まさかの逆スカウト?

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「え。普通に嫌だけど。」
即座に拒否するスラッルス・トークン。

「そこをなんとか。」
食い下がるクロッグ・カーブ。

「意味が分からんし。学校で学生が行方不明になったら、普通に事件じゃん。」
と、真顔のスラッルス・トークン。

「あの。随分、雰囲気、変わりましたよね?」
とクロッグ・カーブ。

スラッルス・トークンは、誰にでも、にこやかな人好きのする男子学生として、男女共に好感を持たれる人物だったはず。

同一人物かな?

「ああ?この村八分の状況で、人好きのする人柄でいる意味、あるかよ?ねーだろが。」
スラッルス・トークンは、やさぐれていた。
貴族社会における敵のいない人物を演出してきた2ヶ月の努力。
まさか、自分の一言で、台無しにするなんて。

「あのー。えーと。」
と、ためらいがちなクロッグ・カーブ。

「こっちが素だよ。そっちも、もったいつけてないで、ちゃっちゃと話しちまえって。」
とスラッルス・トークン。

「え?」
驚くクロッグ・カーブ。

スラッルス・トークンは、肩をすくめる。

「貴族社会の鼻つまみ者の俺に、自分から声かけてくるぐらいだ。切羽詰まっているんだろうがよ。」
とスラッルス・トークン。

「いえ、そんな、私は。」
とうろたえるクロッグ・カーブ。

「あのな?気づいてねーみたいだから、俺から教えてやるけどさ。」
スラッルス・トークンは、ため息をついた。
「貴族社会で鼻つまみ者になっている俺に自分から声をかけに来たテメエはな。金輪際、他の貴族には相手にされねーよ。」

言われた言葉の意味を咀嚼して、クロッグ・カーブは驚愕した。
「え?そんな。そんな馬鹿なことが。」
慌てるクロッグ・カーブ。

「それが、貴族社会だし。貴族相手に生きていくには、時流に乗り遅れないようにしなきゃーならんの。」
スラッルス・トークンは、元気に悪態をつく。
「あー、クソっ。本当に、わけわかんねー。やってられるか、このヤロー。」

「いいんですか?そんな大声出したら、聞こえますよ?」
恐る恐る、周りをうかがうクロッグ・カーブ。

「今さらだろ。今後、俺の周りに人が戻ったところで、人好きのするキャラはもうやんねーよ。マジで。意味ないと分かったしな。」
とスラッルス・トークン。

「で、学園内で、テメエの話し相手は、俺くらいしか、いなくなったわけだ。せっかくの縁だから、もちっとちゃんと聞いてやる。

なんで俺を行方不明にしたいのか、話していけよ。
俺も話し相手が欲しかったところだし。
丁度いいじゃん。
互いにさー。」
スラッルス・トークンは、にやっと笑った。
「座って話そうぜー。」
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