子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
158 / 800
第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

157.思い詰めた顔の男子学生チェール・モンスの後を追いかけよう。

しおりを挟む
授業終了後、遺跡見学ツアーの説明会も終わり。

マーゴット、キャスリーヌは、バネッサを引き留めていた。

チェール・モンスは、授業終了後の説明会も参加していた。
かたい表情で。
他の学生のように、浮かれる様子は1度も見せなかった。

ただ、イーハン教授の説明を1つも聞き漏らすまいと集中しているのは、周囲に伝わっていた。

チェール・モンスの邪魔にならないように、他の学生は、そっと離れたが、チェール・モンスは、それさえも見えていない。

マーゴットとキャスリーヌは、チェール・モンスの様子にただならぬものを感じとった。

危機を乗り越えてきた経験が、マーゴットとキャスリーヌに教える。

チェール・モンスから、目を離してはならない、と。

思い詰めて、自暴自棄になる一歩手前。
辛うじて、こちら側に踏みとどまっている人間が、踏み越える瞬間は、意外に些細なことがきっかけになっていたりする。

マーゴットとキャスリーヌは、バネッサと談笑しながら、チェール・モンスの後を追うことにした。

バネッサも、マーゴットとキャスリーヌと一緒に、チェール・モンスを追跡していて、気づいた。

足取りに、12歳の男子学生の軽やかさがない。

人生の選択が迫っているのに、どれを選んでも後がないけど、どれかを選ばざるをえない。

オッドア伯爵家に、戦力として外から来た人の中には、そんな人生を生きている人もいた。

小競り合いの相手の中にも。

戦闘職に就くのも、武器を手に人を攻撃するのも、選びたかった人生じゃないのに、人を屠るために武器をふるう。

オッドア伯爵領では、一定数、意に添わない人生を突き進んでいる大人がいた。

老若男女問わず。

行くところがなくて、小競り合いが絶えない辺境に流れてきた者。

武器を持たせると、味方に被害を出すことがある者には、背中を預けられない。

チェール・モンスに漂う雰囲気は、まさしく、バネッサが背中を預けられない類の人間のもの。

チェール・モンスの後を追うマーゴット、キャスリーヌ、バネッサが辿り着いた先には。

使用人を帯同しない貴族の男子寮があった。

チェール・モンスは、慣れた足取りで、周りを気にすることもなく、貴族の男子寮に入った。

チェール・モンスは、貴族ではないはず。

チェール・モンスの母国に、王侯貴族はいない。
国民は、全員が平民だ。

どういうことだろう?

10分経過した。
チェール・モンスは、使用人を帯同しない貴族の男子寮から出てこない。


ニンデリー王立学園は。
平民が貴族の寮へ立ち入るのを禁止している。
その逆もまた、しかり。

男女ともに、例外はない。


使用人を帯同しない貴族の男子寮で、何かが起きているのか。

それとも。

チェール・モンスが、何かしようとしているのか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。

あめの みかな
ファンタジー
教会は、混沌の種子を手に入れ、神や天使、悪魔を従えるすべを手に入れた。 後に「ラグナロクの日」と呼ばれる日、先端に混沌の種子を埋め込んだ大陸間弾道ミサイルが、極東の島国に撃ち込まれ、種子から孵化した神や天使や悪魔は一夜にして島国を滅亡させた。 その際に発生した混沌の瘴気は、島国を生物の住めない場所へと変えた。 世界地図から抹消されたその島国には、軌道エレベーターが建造され、かつての首都の地下には生き残ったわずかな人々が細々とくらしていた。 王族の少年が反撃ののろしを上げて立ち上がるその日を待ちながら・・・ ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

思わず呆れる婚約破棄

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。 だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。 余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。 ……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。 よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

処理中です...