子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第5章 丸付けは、全部終わってからだよ？後手に回ったからって、それが何？

153.信用と誠実さが見えない取引相手には？

マーゴットは、手を緩めない。

最初に相手を試してくるような商人とは、基本的に取引しない。

取引には、誠実さと信用が大切だとマーゴットは考えている。

自分の売りたいものを売りつけることしか頭にない商人は、売ったあとは、知らん顔。

もしくは。
一段下に見て、良くないものを持ってくるようになる。

平素であれば、小手先で勝負するような商人は、出入り禁止にするマーゴットだが、クロッグ・カーブを出入り禁止にしてしまうのは惜しいと判断した。

クロッグ・カーブは、求められれば、情報を渡してくる商人だ。

クロッグ・カーブの渡したい情報を選んで、マーゴット達に渡してくる。

クロッグ・カーブが選んで渡してきた情報は、クロッグ・カーブの背後の意向。

つまり。
クロッグ・カーブに主導権を握らせると、マーゴットの望む情報は出てこない。

だから
マーゴットは、クロッグ・カーブに、取引の主導権を渡さない。

マーゴット達の要求する情報を全て出すことはしないにしても。

ある程度、マーゴット達の考えに則った情報を進んで渡すように、クロッグ・カーブの思考パターンと行動パターンに習慣付けをしておけば。

マーゴットは、快適に情報を集められ、クロッグ・カーブは、情報を渡すことにストレスを感じない。

マーゴットとクロッグ・カーブは、良好な関係を築けるだろう。

何しろ。
マーゴット達に知っていてほしいと、誰かが望んだ情報をクロッグ・カーブは、渡してくる。

クロッグ・カーブが渡してくる情報は、その情報を信じて、マーゴット達を動かしたいと考える誰かの意向を反映したもの。

クロッグ・カーブの動向を把握しておくことは、クロッグ・カーブの背後の意向を透かし見るのに適している。

目と耳は、常に持て。
精度の良い目と耳は、作戦を成功に導く鍵になる。

精度の良い目と耳は、己の手の届かないところにこそほしい。

目と耳は、マーゴットの部下ではない。
マーゴットへの忠誠心はいらない。

目と耳自身と、目と耳の背後に気取られることなく、ほしい情報を収集する。

マーゴットは、ニンデリー王立学園に来る前に、情報を集めたとき、嘘偽りの情報を掴まされたことで、学習した。

情報提供者の背後の確認は、怠るな。
情報提供者自身の調査を怠るな。

自分のしたいことを見失うな。

マーゴットが、望む未来を邪魔する壁が、マーゴット自身にならないように。

さあ。
クロッグ・カーブは、いつ音を上げる？