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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

134.人生を差し出す理由は何ですか?

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パメラ・ブルダムの目から見ても、レベッカ・ショアは、最初から、いっぷう変わっていた。
貴族のルールも常識もなく、空っぽの頭で、控え目に生きていた。

レベッカ・ショアは、色々と疎かった。
レベッカ・ショアの疎さの前では、パメラは、肩の力を抜くことができた。
レベッカ・ショアは、パメラの姉やパメラの事情を知らない。
レベッカ・ショアの前では、ただ、単独行動を好む12歳の女子学生の姿でいられた。

学園に来て初めて。
侯爵家に預けられる前の子爵令嬢としていられた時間に戻れた。

レベッカ・ショアといるときだけは。

だから、なんとなく、声をかけるようになった。

レベッカ・ショアも喜んでいるようだった。

鬱々とした学園の中で、なんとなく、楽しかった。

だけど。
レベッカ・ショアが、突然いつもとは違う行動を取り出した。

寮の職員からのご注進により、侯爵家のご令嬢は、小物すぎて眼中になかったレベッカ・ショアの存在を認識した。

パメラは、侯爵家のご令嬢から、レベッカ・ショアの行動を監視して報告するよう命令を受けた。

報告を受けた侯爵家のご令嬢は、レベッカ・ショアが使用人帯同の貴族の女子寮から出ていかせるために、パメラに一芝居うたせた。

一芝居の結果。
パメラ・ブルダムは、レベッカ・ショアに関する命令に失敗し、島流しになるところだった。

それなのに。
今日も、何を考えているか分からないレベッカ・ショアは、パメラに手を差し伸べてきた。

しまいには。
パメラに下僕を辞めて、と言ってきた。
パメラが下僕を辞めたら、パメラと友達付き合いができると。

常識では、パメラが侯爵家への人質を辞める選択肢なんて、誰も考えない。

パメラも含めて。

非常識の塊のレベッカ・ショアだから、考えることができて、パメラに要求できた。

学園に入学して以来、自身のことを、一生、輝かしい未来とは無縁な人質なんだと絶望していたパメラ。

でも、今、パメラの心をくすぐる風が吹きつける。

下僕を辞める?

辞められるなら、いつ辞めてもいいような気がする。

パメラを差し出して、やれやれ、丸くおさまったと安堵している両親も。
問題を起こしておきながら責任をとらず、不幸な自分に酔って、妹の苦労を知ろうともしない姉も。
素知らぬ顔で、パメラの苦労の成果だけを受け取る弟も。

パメラが、パメラの人生を棒にふってまで、支えなきゃいけない人達だろうか?
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