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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

125.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。転職のお誘い。

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レベッカ・ショアは、ぽかんとした。
私、今、名前を呼ばれた?
私、話しかけられている?

誰に?

レベッカ・ショアは、我に返って、寮の職員と、公爵家と侯爵家のご令嬢達の輪の中から、声の方向に頭を向けた。

ん?
んん??

目を引くキツめの美少女が1人。
茶色い髪と茶色い瞳の小柄な少女が2人。

アイドル3人娘だ、とレベッカ・ショアは思った。

レベッカ・ショアの予想と違い、センターは、茶色い髪と瞳で、より小柄な方。

美少女は、後ろからついてくるポジションにいる。

メインは、茶色い髪と瞳の2人組で、美少女は、ビジュアル担当だった。
と、レベッカ・ショアは、認識を改めた。

「レベッカ・ショア。呆けてないで、説明して。」
センターではない、茶色い髪と瞳のもう1人が、催促してくる。

アイドルが声をかけてきた。

こんなことってある?

レベッカ・ショアは、浮かれかけた。

「この状況は、口で説明できるのは、貴女だけよ。」
と美少女。

私、めちゃくちゃ、頼られている。

応えなきゃ。
答えますとも。

レベッカ・ショアの、憧れのアイドル3人娘の期待に応えるぞというスイッチが、ONになる。

レベッカ・ショアは、饒舌だった。

レベッカ・ショアは、報告する経験など、ろくになかったが、3人娘は、聞きたいことを的確に、最短で報告させた。

レベッカ・ショアの能力というより、報告を受ける側としての3人娘の経験が豊富だったため、レベッカ・ショアが脱線しそうになる度に、3人娘は軌道修正させながら、最短時間での報告へと導いた。

「レベッカ・ショア。侍女がいない間の生活は、1人で?」
とマーゴット。

「うん。ここの人達は、助けてくれないから。」
とレベッカ・ショア。

「答えるときは、聞かれたことに的確な返答をしなさい。蛇足は不要。」
とマーゴット。

「ええっ。でも。本当に、誰も助けてくれないよ?」
レベッカ・ショアは、誰も助けてくれなかったことを伝えたいと思ったが、茶色い髪と瞳のセンターが、聞きたいことではなかったらしい。

「侍女がいない間、どうやって生活した?食事は食堂があるとして。他は?」
とマーゴット。

レベッカ・ショアが、質問の意図をはかりかねていると、もう1人の茶色い髪と瞳の子が、質問を補足してくれた。

「掃除や、服の手入れは、どうしていた?
レベッカ・ショアは、侍女がいないと聞いても気づかないくらい、きちんと整えている。」
とキャスリーヌ。

「自分で。家事や、身の回りのことは、自分で出来るから。」
レベッカ・ショアは、照れた。
自分のしたことを褒められるのは、嬉しい。

レベッカ・ショアとして、生きてきた12年。
久しぶりに褒められた。

レベッカ・ショアの優秀な侍女は、主人であるレベッカ・ショアを褒めることだけは、しなかったから。

「家事とは、どんなことが、どの程度?」
とマーゴット。

「通り一遍は。掃除、洗濯とか。」
とレベッカ・ショア。

「料理は?」
とマーゴット。

「道具と食材の説明をしてもらえれば、多分。」
とレベッカ・ショア。

茶色い髪と瞳のセンターは、レベッカ・ショアの回答に満足したようだ。

「レベッカ・ショア。貴女、コーハ王国の伯爵令嬢バネッサの侍女として暮らしなさい。」
とマーゴット。

え?侍女?
レベッカ・ショアは、また、ぽかんとした。
どういうこと?
貴族令嬢から、侍女?
貴族令嬢だけど、侍女?
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