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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

122.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。なんのための台本?大量のギャラリーは何用?

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ちょっと。
思い込みが、激しすぎない?
私は、ギャラリーを見渡しながら、説明した。
「私は、侍女が居なくなったから、伝言がないか、確認しただけ。伝言の確認くらいで、はしたない、とか意味不明。」

「意味不明ですって。」
「倫理観がおかしいですわ。」
「頭がおかしい人が同じ寮生なんて、最悪です。」

全然、理解されない。
やましいことは、何もしていないのに。
『12歳の寮住まいに、はしたないことなんか、できっこない。』
と前世の意識。

「寮の職員。私が頼んだことをベラベラ喋ったのは、貴女?
なんで、私がはしたないと言われなきゃなんないの?
寮の職員には守秘義務がないわけ?」
私は、寮の職員のところまで歩いていく。
腹が立つわ。

「わたくしが監督する寮内に、風紀の乱れは持ち込ませません。」
と寮の職員。

「そんなん、仕事で知り得た秘密をもらしてもいい理由にならないよ!」

ああ、腹が立つ。
寮の職員は、絶対に自分が悪いと思ってない。

「だいたいね。私に直接、確認すれば良かったのよ。
朝と夕方、顔を合わせるんだから、ムスッしていないで、私と話をしたら、その場で誤解はとけたのに。」

「ムスッと?朝と夕方に対応いたしましたわたくしのことをそのように。」
寮の職員の肩が、小さく震えている。

「だって、貴女は寮の職員だよね?私は寮生。なんで、毎回、私と会うときは、仏頂面なのよ?」
顔を見る度に、憂鬱になったよ?
ただでさえ、侍女がいなくて、不安なのに。

「今日、玄関ホールで、公爵家と侯爵家のご令嬢と話している時は、笑顔だったじゃない。」
笑顔が出せるんなら、出して欲しかった。
仏頂面の人と、話なんて、私もしたくなかった。

「贔屓よね?寮の職員が、贔屓していいと思っているの?職業意識、どうなっているのよ!」
寮の職員を名乗る資格ないわ。

「職員に対する暴言は認められないわ。」
と公爵家のご令嬢。

「暴言じゃない。職業意識が、低すぎ。仏頂面で寮生に不安を与えて。寮生の頼みを勝手に第三者に話して。なんで、そんなんで寮の職員なんてやっていけてるのよ!」

「公爵家の方に尊大な物言いは、不敬です。」
と侯爵家のご令嬢。

私は、会話に入ってきた侯爵家のご令嬢に、正面から苦情を入れた。
「貴女の思い込みで、変な風に言いふらしたから、私が、はしたないと軽蔑されたじゃない!」

「身の程知らずがいる。」
と誰かが、ひそひそ話している。

「私は、はしたなくない。
貴女も寮の職員と一緒に
訂正して、謝って。
今!今、やってよ!」

私は、寮の職員への口撃に手加減なんかしない。
だって。

寮の職員は、私のことをはしたないという論調に、何も言わない。
寮の職員の迂闊さのせいで、私が軽蔑されるのは、おかしい。

『菓子折り持ってきて、私に平謝りした後に、間違えまして、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます、と記者会見してもいい。』
前世の意識も、寮の職員は謝れ派。

そんな風に気炎をあげていた私。

寮の職員が、次に口にした台詞は、私への謝罪でも、訂正でもなかった。

「レベッカ・ショア様は、問題行動が著しく、反省する様子は、一切ございません。更生も期待できないことは、皆様もご覧のとおりです。
よって。
レベッカ・ショア様は、わたくしの監督する女子寮を本日付けで退寮処分とします。
本日より、レベッカ・ショアさまは、使用人を帯同しない貴族の女子寮へ移ります。侍女もいなくなったということですから、丁度良いでしょう。」
寮の職員は、私を寮から追い出す宣言をしたのだ。
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