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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

116.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。過ぎてみてはじめて、何を見落としたのか、に、気付けることもある。

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侍女が帰ってこなくなって4日目の朝。

昨夜の寝る前は、やる気いっぱいだったのに。

興奮が冷めた?

今朝は、気が重い。

朝食と夕食は、部屋食と食堂食が選べる。

私は、入学以来、食堂で食べるんだけど。
正直に言うと、食堂で、人の輪の外にいて、1人で食べるのが辛い。

教室で、顔を合わせるから、顔も声も知っている。
お互いに、存在は認識している。
でも、会話どころか、挨拶を交わす仲ですらない。
居たら、居ると認識するだけだから、居なくても困らない。
そんな人達に囲まれて食べるご飯は、美味しいけれど、苦痛。

私は、食堂は、食事にありつく場所だと思っていたから、食べ終わったら、部屋に帰ってきていた。

違ったんだよね。
貴族令嬢の公的な食事には意味があった。

朝食は、朝の社交の場。
夕食は、夕方の社交の場。

食堂で交流して、人となりを見極めてから、友人づき合いに進めるか否かのふるいをかける。

私の前世の認識だと、食堂は社交場じゃなかったから。

教室に入っても、ゆるっと人の輪が出来上がっていて、どうしても仲間に入れてもらえない。
ゆるっとした輪なのに、弾かれる。

いつ?どこで?
どういう繋がりで?

疑問だったけど、何人かの話し声から、食堂繋がりだと予想して、何回か食堂で観察してみたら、ビンゴ。

食堂で、紹介したり、されたりして、仲良くなっていた。

私?
紹介してくれる人がいないから、誰にも紹介されていない。
勿論、紹介もしていない。

そもそも、入寮してから何日も経っているのに、私が自分で気づくまで、食堂での紹介システムを知らずにいる時点で、察してしまう。

女子寮の誰にとっても、私には、仲良くなるほどの魅力がないんだって。

私にとっての食堂は、孤独を煮詰められる場所。
精神衛生上、長居したくない。

でも、食べないと、お腹が空く。
空腹で辛いと嘆いても、心配して助けてくれる人が、侍女以外、私にはいない。

だから、黙々と孤食に耐えてきた。

「連れてきた侍女が1人のご令嬢は、ゆるい人脈作りのために、食堂を利用することがほとんどなんです。」

そう、私の侍女が教えてくれたときには、私は、完全に、人の輪に入る時期を逸していた。

侍女同士のネットワークで情報を仕入れた、と侍女は言っていた。

使用人帯同の貴族の女子寮は、主人であるご令嬢の繋がりと、侍女達の繋がりの2本柱で、情報が行き交っている。

私が、ダメダメ令嬢だから、侍女には、相当、負担がかかっていた、と思う。

朝から反省してしまうと、気持ちが落ち込みそうになる。
止めよう。


食堂に行きたくないと思いながらも、超速で、朝食を食べて部屋に戻る私。

今日も、寮の職員に、伝言の有無を確認してから、授業を受けよう。



寮の部屋を出たときの私は、その後に起きることを想像だにしていなかった。


食堂は、貴族令嬢の社交場だと、知っていたのに。

昨日の余波が、手酷いカウンターパンチを食らわせにくることになろうとは。


昨日、私が呼び止めたご令嬢達。

特に、昨日のラストの彼女。

私を嘲笑いながら、立ち去った彼女が、何もしないわけがなかった。

私は、いつも、後からでないと気付けない。
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