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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

113.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。レベッカ・ショアから話しかけたことはないけれど、会話したことはある2人組に思い切って話しかけてみたら?

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一組目は、うまく行かなかった。
落ち込んで、立ち止まっている時間は、私にはない。
時間経過と共に、質問出来る人が、学園内からいなくなってしまう。

私は、自分自身を叱咤して、足を動かす。

授業が終わった学園内は、前世の記憶が言うように、全体的にゆったりした雰囲気が流れている。

家に帰る人。
出かける人。
寮の部屋に戻る人。
学園内でのんびりする人。
研究に勤しむ人。

放課後は、学生が思い思いに、自分のペースで過ごす時間。


私は、前世の意識と協力しながら、二組目以降にも声をかけた。

授業があった教室を出て、談笑する声が聞こえる方向へ歩いていく。

でも。

私が話しかけようとして、近づくと、席を立ってしまう人達が続出。

続く二組は、完全に声をかけそびれてしまった。

もう後がない。

席を立つ人達は、皆、歩きだから、私は、小走りで追いかけて行った。

なんとか、聞いてくれた人達が三組いた。


でも。

『話を聞いて。私の侍女。』
と、私が話しかけると。
どの組からも、申し合わせたように同じ返しがきた。

「「「貴女の侍女は、良い侍女ね。」」」

私は、一組目の件で学習していたから、対策を練っておいた。
侍女を褒められて、すぐに反応しなかった一組目のとき。
私が本題に入る前に、相手から、一方的に、会話を打ち切られた。

「その侍女のことで、聞きたいことがあって。」
と急いで続けた私を待っていたのは、冷笑だった。

「貴女が侍女のことを?」
「侍女が貴女のことじゃなく?」
凍り付くような視線を私に寄越して、私に話す隙を与えずに立ち去った2人組。

私は、立ち去った2人組の後ろ姿を見ながら、2人組へ返せなかった言葉を前世の意識に零す。
「侍女は良いのに、私は、ダメ?
なんでダメ?
私の何がダメ?」

『全然分からない。
侍女と貴族令嬢を比較して話をすることは、貴族の常識で考えて、問題がない、とは思えない。
侍女が帰ってこなくなる前までは、どちらかというと、親切な2人組だったよね?』
と、前世の意識も戸惑っている。

私も前世の意識も、2人組の変化の理由について、皆目、見当がつかない。

悩んだ末に。

『分からない2人が集まっても、文殊の知恵には程遠い。』
と、前世の意識は言った。

『馬鹿の考え、休むに似たり。分かる人間がいないなら、分からない人間で、判断して決定すると、傷を大きくする。』
前世の意識の言う通りだと思う。

前世の意識も私と同じくらい動揺しているのが伝わってくる。

私を励ます言葉を選びながら、前世の意識自身にも言い聞かせるかのよう。

前世の意識は、頭の中を切り替えて行動に移ろうと提案してきた。

『考えるのは、後にしよう。今、いくら考えても、分からないし。』

『今の優先順位は、考えることじゃない。』
前世の意識に、念を押されて、はっとする。

2人組とは、会話さえ、ままならなかった。
次こそは、成功させないと。

『短時間で話せる人から、順番にあたっていく、数撃ちゃ当たる方式でいこう。』
前世の意識に同意する。

この際、1人でもいいから、話をしたい。

『侍女について、向こうから気にしてくれるか、私達と対等に向き合えそうな人を探したいよね。』
前世の意識は、私の心そのものの発言をした。
「うん。」

前世の意識に誘導されて、ショックを抱えながらも、私は、別の3人組に声をかけにいく。

さっきの2人組は、私の中では、親しい人達の枠に入っていた。
2人からの凍り付く視線が脳裏に焼き付いて、ズキズキと心が痛む。


だから、次は、全然話したことがない3人組に声をかけた。

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