子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

110.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。前世の人格ではなく、前世の意識が残ったタイプ。前世の意識によると、侍女の不在は、危機の予感?

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3日目の朝も、伝言はなかった。

私の前世の意識が騒いでいる。

『1日、2日の外泊は、大人なら、アリかな、と思ったけど、3日目は、ヤバい。』

『事件か、事故に巻き込まれている可能性が出てきた。』

『帰りを待つだけじゃなく、積極的に探した方がいい。』

『警察は?』

『ああ。学校の施設だから、警察は、入って来れないかあ。』

『目撃情報を聞いて回って、ついでに一緒に探して貰おう。』

そんなことを垂れ流してくる前世の意識に、私は聞いてやる。

「誰に?
誰に声をかけたらいいの?
どうやって、声をかけたらいいの?」

ニンデリー王立学園に入学して2ヶ月。
私は、自分から、誰かに話しかけたことがない。
侍女といるときは、いつも侍女から話しかけてくれていた。

私にとって、ニンデリー王立学園内には、侍女か、侍女以外しかいない。

侍女以外に、親しい人が、私にはいない。

その侍女にも、自分から、話しかけたことなんて、あったかな?

なかったかもしれない。


どうしよう?
私は、人への話しかけ方が分からない。

今頃、気づきたくなかった。
どうして、今、気づいてしまったのか。

私は、自分から、誰かに話しかけたことが、1度もない!

家族は、家族から。

使用人は、使用人から。

友達?友達と呼べる誰か、いたかな?

侍女は、侍女から。



私の体は、カタカタ震えていた。

私、侍女以外の人と、どう接していたんだっけ?

侍女以外の人にも、勿論、話しかけられたときしか、話をしたことがない。

人の輪を見ているだけのときは、気づかなかった。

人との付き合い方って、どうするんだったっけ?

前世では、ちゃんと人の輪の中で生きることが、出来ていた気がする。
レベッカ・ショアとして、生きている今世は、どうして出来ないの?

人付き合いの仕方って、忘れてしまうものだったっけ?

不安で、不安で。

私は、これから、どうやって生きていけばいいの?

私が悲しみにくれているのに。

前世の意識が、
『早く誰かに侍女が居なくなった経緯を伝えて、捜索依頼を出さなきゃだめ。』
とうるさい。

うるさい。
うるさい。

私自身が、生きていけるかどうか、の瀬戸際なんだから。

「私の心配をしてよ。」

前世の意識が、
『心配しているからだよ。』
と私に言う。

『侍女が、居なくなって3日目で、動揺して、身動き取れなくなっているのに、侍女が居ない状態が続いたら、どうするの?』

『人生、捨てるの?』

「捨てないよ。
死のうなんて考えていない。」

「侍女と一緒に、したいことがたくさんある。
これから、したいことはどんどん増えていくんだから。
何百年生きても、やりたいことを全部やり終わるか、分からないくらい。」

私は、普通の人だから、何百年とは、生きられないけれど。

「とにかく、私は、侍女と生きる未来を諦めてなんかいない。」

前世の意識に、宣言する。

すると、前世の意識が、言った。

『だったら、早く、侍女を探して、取り戻そう。』

あ、そうだね。

帰りを待つばかりじゃなくて、探して迎えにいけばいいんだ。


侍女がいる未来を私は、捨てない。

侍女がいないと、寂しくて、生きていけるか、不安になる私。
侍女がずっと私といられるようにしたら、大丈夫。


思い返せば。
私は、主人らしいことをしてきた記憶がない。

私の優秀な自慢の侍女の元気がないな、とは気づいていた。

いつから、元気がなくなっていたんだろう?

思い出そう。
確か。
行方不明の女子学生の話をした後から。
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