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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

109.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。帰ってこない侍女を1人で待つ。『寂しいよう。』

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侍女の帰ってこない部屋。

食事のために部屋を出て、食堂から戻ってきたレベッカ・ショアは、人気がなく灯りのついていない部屋にしょんぼりと入る。

「どこに行ったのよー。待っているんだから、早く帰ってきてよ。」
届かないと分かっていても、ここにいない侍女に話しかけてしまう。

「私、頼り切っていたんだなあ。」
レベッカ・ショアは、壁に背を預けて、返事が返らない暗闇を眺める。

昨日までは、3人娘と仲良くなることばかりを考えていたのに。

今は、部屋にいない侍女のことで頭がいっぱい。

心身共に、侍女の支えがあったから、3人娘と仲良くなろうという目標だって持つことが出来た。

いつも一緒の侍女がいないなんて、レベッカ・ショア史上、初めて。
侍女のことばかり考えてしまい、3人娘のことまで、気が回らない。

「寂しいよう。」
レベッカ・ショアは、泣きながら、ベッドに入った。

翌朝には、侍女が部屋にいやしないか、と願いながら。

2日目。
侍女は、帰ってこない。

朝、登校前。
夕方、下校後。

寮の職員に、レベッカ・ショア宛ての伝言がないか、と聞いている。

職員は、レベッカ・ショアが伝言の有無を確かめに来るのが、不快らしい。

レベッカ・ショアが、『伝言』と言い出す度に、仏頂面になる。

伝言の有無を確認されるのが、なんで、そんなに嫌なの?
と職員に言ってやれたら、どれだけ気持ちがいいだろう。

レベッカ・ショアは、無鉄砲な発言をしないだけの分別がある。

伝言の有無を聞く相手のご機嫌を損ねて、意図的に隠されたりしたら?

想像するだけで、恐ろしい。

早く帰って来ないかな?
2日目も、何の音沙汰もなく終わった。


3日目。
前世の意識があって、本当に良かった。
しみじみ実感している。
侍女がいなくなってから。
ベッドメイキング。
洗濯。
掃除。
侍女がいないため、レベッカ・ショア自身が家事をしている。
12年以上ぶりで、多少ぎこちないながらも。
前世の意識を参考に、思ったよりは、手際よく家事をしているレベッカ・ショア。

「帰ってこない間に、家事が上達した、と教えるんだから。」
レベッカ・ショアは、今日も仏頂面の寮の職員に聞きに行く。
「私宛の伝言、今日は、来ている?」

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