106 / 763
第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?
105.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。『女子寮の閉鎖された場所に、入ったら、帰ってこれないんだよー。』『柵あるの?』『囲うのはダメって。』
しおりを挟む
女子寮には、立入禁止の場所がある。
凄惨な事件だか、不幸な事故だか。
詳しく語ることができないことが起きたので、関係者の感情に配慮し、立入禁止になったそう。
立入禁止の場所に入ったら、出てこれなくなるから、入らないように、と寮に入るときに説明された。
寮の職員じゃなくて、寮に入っている先輩から。
ひそひそっと。
伝言ゲームで。
大っぴらに出来ないことだから、伝言ゲームが済んだら、内緒にするように、と。
女子寮には、使用人帯同の貴族寮、使用人を帯同しない貴族寮、平民寮の3種類。
私は、使用人帯同の寮に入っている。
国外に出る貴族令嬢は、使用人帯同が多いと思う。
骨肉の争いをしていて、使用人が信用出来ない場合や、使用人帯同の部屋代を出せないといった理由で、使用人なしの部屋を使う人もいなくはない。
ニンデリー王国の貴族は、男子学生より、女子学生の方が、使用人帯同率が高い。
以前は、使用人なし、という貴族も、そこそこいたらしいけれど、第1王子が卒業してからは、減少傾向にあるそう。
立入禁止区域があるのは、使用人帯同なしの女子寮の一画。
女子寮で事件か、事故って聞いて、まず、頭に浮かんだのが、内部犯か、内部からの手引きしかなくない?ということ。
事実がどうであれ、面倒ごとにしかならないやつ。
絶対、近寄らないぞっ。
そう思っていた。
「使用人帯同なしの女子寮に入寮している女子学生が行方不明?」
寮の部屋で、侍女から聞いて、いやはや、びっくり。
私は、学生同士で、あんまり交流できていなかったけれど、侍女はできていた。
私の侍女は、優秀。
私の侍女なだけあるわー。
「退学とか、引きこもり、ではなく?」
一応、確認してみる。
さすがに、ドッキリは、ないだろうけど。
「探しても見つからないので、立入禁止区域に入ったのでは?と。捜索は打ち切りになりました。」
「立入禁止になるくらいの場所よね?気軽に入れるところ?」
「何の変哲もない場所なので、入ろうと思えば、誰でも入れるそうです。」
「柵とか、してないの?」
KEEP OUTの黄色のテープみたいなのでもいいけど。
「柵などで、囲ってしまうのは、感情を配慮した結果、止めたと聞きました。」
「柵、ダメなんだ?」
「閉じ込めるのが、よろしくないそうです。」
「難しいわねー。」
そんな風に話していたときは、他人事だと思っていた。
だって、本当に他人事だったから。
私は、あまりにも、周りを知らなすぎた。
知らないことを気にしなさすぎた。
人の輪が出来上がっているところになんか、入れるわけないよーって。
そんな風に、自分のプライドを守ることに終始しないで。
貴族として、主人として、貴族社会で立ち回っておけば。
侍女が、話題に出したときに、もっと突っ込んで聞くべきだった。
出来る侍女が、意味もなく話題にするはずもなかったのに。
凄惨な事件だか、不幸な事故だか。
詳しく語ることができないことが起きたので、関係者の感情に配慮し、立入禁止になったそう。
立入禁止の場所に入ったら、出てこれなくなるから、入らないように、と寮に入るときに説明された。
寮の職員じゃなくて、寮に入っている先輩から。
ひそひそっと。
伝言ゲームで。
大っぴらに出来ないことだから、伝言ゲームが済んだら、内緒にするように、と。
女子寮には、使用人帯同の貴族寮、使用人を帯同しない貴族寮、平民寮の3種類。
私は、使用人帯同の寮に入っている。
国外に出る貴族令嬢は、使用人帯同が多いと思う。
骨肉の争いをしていて、使用人が信用出来ない場合や、使用人帯同の部屋代を出せないといった理由で、使用人なしの部屋を使う人もいなくはない。
ニンデリー王国の貴族は、男子学生より、女子学生の方が、使用人帯同率が高い。
以前は、使用人なし、という貴族も、そこそこいたらしいけれど、第1王子が卒業してからは、減少傾向にあるそう。
立入禁止区域があるのは、使用人帯同なしの女子寮の一画。
女子寮で事件か、事故って聞いて、まず、頭に浮かんだのが、内部犯か、内部からの手引きしかなくない?ということ。
事実がどうであれ、面倒ごとにしかならないやつ。
絶対、近寄らないぞっ。
そう思っていた。
「使用人帯同なしの女子寮に入寮している女子学生が行方不明?」
寮の部屋で、侍女から聞いて、いやはや、びっくり。
私は、学生同士で、あんまり交流できていなかったけれど、侍女はできていた。
私の侍女は、優秀。
私の侍女なだけあるわー。
「退学とか、引きこもり、ではなく?」
一応、確認してみる。
さすがに、ドッキリは、ないだろうけど。
「探しても見つからないので、立入禁止区域に入ったのでは?と。捜索は打ち切りになりました。」
「立入禁止になるくらいの場所よね?気軽に入れるところ?」
「何の変哲もない場所なので、入ろうと思えば、誰でも入れるそうです。」
「柵とか、してないの?」
KEEP OUTの黄色のテープみたいなのでもいいけど。
「柵などで、囲ってしまうのは、感情を配慮した結果、止めたと聞きました。」
「柵、ダメなんだ?」
「閉じ込めるのが、よろしくないそうです。」
「難しいわねー。」
そんな風に話していたときは、他人事だと思っていた。
だって、本当に他人事だったから。
私は、あまりにも、周りを知らなすぎた。
知らないことを気にしなさすぎた。
人の輪が出来上がっているところになんか、入れるわけないよーって。
そんな風に、自分のプライドを守ることに終始しないで。
貴族として、主人として、貴族社会で立ち回っておけば。
侍女が、話題に出したときに、もっと突っ込んで聞くべきだった。
出来る侍女が、意味もなく話題にするはずもなかったのに。
1
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
幻獣士の王と呼ばれた男
瑠璃垣玲緒
ファンタジー
これは遥か昔、のちの世に『幻獣士の王』と呼ばれる青年と従魔である幻獣が、新たな幻獣士のシステムを作った物語である。
傷付いた幻獣と出会い、悪意ある同族から守り友好の絆を結んだ男と、
助けてもらい主人を得た幻獣が、その後紆余曲折の末、幻獣達に人族を信じてもらえるよう説得して大きく世界を変え、のちに主人が幻獣士の王と呼ばれるまでの物語
謙虚で心優しい青年が本人の意思とは関係なく幻獣でチートしていく感じの予定です。
1章は説明っぽい感じになってしまいました。
後半から主人公の幻獣が増えていきます。
とりあえず一旦書けるところまで書いてから、書き直すか決めます。
ざまあ要素を3章と4章で少し出しますが、R指定の内容はない予定。
もふもふは3章後半以降で、これからもっと出せるよう頑張ります。
7章が完結、8章を執筆中。
注)
突然頭に浮かんだお話しなので、書いている途中で大幅に修正する可能性がありますが、とりあえず一旦完結するまではこのままで行きます。
ご承知の上でお楽しみ下さい。
エンディングはまだ決まっていません。
方向性のみ浮かんでいる感じのため、更新頻度は決まっていません。
オリジナル設定の予定ですが、万が一ほとんど同じ設定があったとしても偶然の一致であることをご理解下さい。
色々皆様のイメージと違ったりする部分があるかもしれませんが、この世界独自の世界観や考え方などなので、
そのことに関する誹謗中傷はご遠慮いただきたく思います。
誤字脱字は3回以上読み直して減らしているつもりではありますが、誤表現や分かりにくい部分などあるかもしれないので、コメントにてお知らせ下さい。
現在カクヨムでも公開予定
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
あさきゆめみし
八神真哉
歴史・時代
山賊に襲われた、わけありの美貌の姫君。
それを助ける正体不明の若き男。
その法力に敵う者なしと謳われる、鬼の法師、酒呑童子。
三者が交わるとき、封印された過去と十種神宝が蘇る。
毎週金曜日更新
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる