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第5章 丸付けは、全部終わってからだよ?後手に回ったからって、それが何?

95.バネッサの兄、オッドア伯爵子息アレックス。その2。アレックスの婚約。

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アレックスの身の振り方が決まって、ほっとしたオッドア伯爵家。

しかし、当のアレックス本人は、不満たらたら。

婚約が決まって、婚約者ができたことも。
婚約者と共に、オッドア伯爵領で骨を埋めることも。

納得できない。
横暴だ。
人身御供だ。
人の人生をなんだと思っている。
と喚いて、婚約者と親交を深めるどころか。

初対面の婚約者に放った第一声が、これ。
『なんで、オレと結婚するなんて言い出したんだ。お前のせいで、オレの人生は、10歳にして、終わったんだぞ。国に飼い殺しにされるんだぞ。どうしてくれるんだ。謝れ。謝れよ!それから、オレの人生をダメにしたことを死んで詫びろ。』

大人が遠くで見ているから、せっかくお越しくださったご令嬢とお散歩して、お話でもされては、と送り出された先。

両家の大人が居なくなった途端に、ご令嬢への謝辞を述べるのではなく、怨嗟を吐き出したアレックス。

ご令嬢から、ご令嬢の両親、ご令嬢とアレックスの仲を取り持った国、アレックスの両親へと確認がいき、破談。

その後、オッドア伯爵家は、国からアレックスの教育について、指導を受け、アレックスの再教育に励んだ。
しかし。
お漏らしする程怒られたアレックスは、悪知恵を働かせて、誤魔化したり、騙したり、押し付けたり、を繰り返し、再教育から逃げ回り続けた。

コーハ王国の貴族学校へ入学する12歳を前にして。
コーハ王国内の貴族社会におけるアレックスの評判は、既に、芳しいものではなくなっていた。

『オッドア伯爵家の次男でありながら、己の責任を自覚せず、貴族としての責務を放棄した卑怯者。』
『自分のために用意された縁談を理解せず、10歳で婚約し、婚約したその日に婚約破棄された恥知らず。』

アレックスが、国内の貴族学校へ進学しても、オッドア伯爵家の未来が明るいものには、なりそうもなかった。
アレックスの将来も、明るいものにならないと予想された。

この時点で、アレックスを見限る選択肢も、オッドア伯爵家にはあった。

アレックスを伯爵家から除籍して、貴族の責務と切り離し、平民として生きさせる。

しかし、貴族でなくなることをアレックスは、拒否。

国外に活躍の場を広げてくる、と、国外の学校を選んだ。

ただ、貴族でいるなら、貴族としての責務を果たさなければならない。

コーハ王国とは深い付き合いがないニンデリー王立学園に入学する前に、アレックスは、新しく戦えるご令嬢と婚約して、国を出た。

アレックスとの婚約期間は、戦えるご令嬢が、アレックスの代わりを務める契約を残して。
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