上 下
88 / 776
第4章 学生色々。学校でのトラブルって、避けられるものと、避けられないものがあるんだよね。

87.子どもの出来がよく、子どもに期待する親の中には、期待を肥大化させて、己の野望を育てる親もいる。そんな親子に近づいてきた者の目的は?

しおりを挟む
「叔父は、最初、ハーメリーを裕福な平民と結婚させるつもりでいたみたいなの。」
ナユカが、ポツリポツリ言葉を漏らす。

「そうしなかったのは、叔父が思っていた以上にハーメリーの出来が良かったから。叔父は、ハーメリーに平民の婿というのが、惜しくなったの。」
とナユカ。

「叔父の元には、ハーメリーの縁談が幾つも持ち込まれていた。でも、全部、婿が平民だったって。
叔父は渋った。
あるとき、ハーメリーの優秀さを聞きつけた人に、ハーメリーを王子妃にしないか?と勧められたそう。
その気になった叔父は、ハーメリーの母とは1度離縁してから、伯爵家に来て、私の母と結婚したの。
ジョンストン伯爵になった叔父は、母が療養のために家を出てすぐ、ハーメリーの母を第2夫人として届けて、ハーメリーをジョンストン伯爵家の養女にした。」

伯爵家の家督狙いかと思いきや、一気に政治的な思惑がある黒幕がいる展開になった。

「伯爵夫人が本当に療養中か、療養先にいるか、貴女は確認した?伯爵夫人から連絡がきたことは、ある?貴女から、伯爵夫人に連絡はとれる?」
マーゴットは、ナユカに確認することにした。

「いえ。お母様は、叔父との結婚せいで、人に会うのを拒まれるようになられたから。私は、父の特徴を受け継いでいて、父と叔父は似ているから、私を見るとお母様は、状態が悪化されてしまうの。
お見送りのときも、遠目にでしか。」
とナユカ。

マーゴットは、情報を整理しながら紐づけて、組み立てる。

伯爵夫人が、無理やり結婚させられたというが、伯爵家から出て、平民になっていたナユカの叔父1人で出来ることではない。

伯爵夫人の側にいた人物の手引きがないと。

伯爵夫人が療養のため、屋敷から出ていき、嫡女のナユカは学園寮から出てこない。

伯爵邸にいるのは、ナユカの叔父と叔母。

ジョンストン伯爵家は、主人が入れ替わったも同然。
混乱しないのか?

たまたま?

それとも、狙い通り?

ナユカの叔父が、現ジョンストン伯爵だというのなら、現役のジョンストン伯爵である叔父が、伯爵として家の仕事をすれば、姪のナユカが、学業と家業にアップアップしなくて済むのではないか?

なぜ、しない?
もしくは、既にしている?

12歳のナユカに負担がかかり過ぎている現状。
ナユカの周囲は、誰もおかしいと思わないのか?

ナユカの母の伯爵夫人が、不調になるほどの仕事を12歳の娘が一手に引き受けるなど、破綻する未来しか見えない。

ナユカの話では、ナユカの母の伯爵夫人は、不調になるほど仕事をしていた。
そもそも、伯爵の代行をしている伯爵夫人が不調で倒れたら、伯爵家が回らなくなるのに、替えのきかないはずの伯爵夫人をそこまで酷使したのは、なぜ?

マーゴットは、はっとした。
気づいたのだ。

伯爵夫人は、伯爵の代行。
替えがきく。
伯爵夫人には、嫡女である娘のナユカがいる。
ナユカは今年12歳。
社交経験がなく、ナユカの世界は、家の中だけで完結していた。
ナユカは、大人の言いなりにするには丁度よい年齢と性格だ。
大人の庇護を求める年齢。
与えられた仕事に文句を言わずに取り組む従順さ。
併せて。
仕事を滞らせないだけの能力もそこそこある、とみた。

時系列で整理する。

夫である伯爵が亡くなり、伯爵代行になった伯爵夫人。

過労で不調気味の伯爵夫人と無理やり結婚して、伯爵になったのは、伯爵夫人の夫である亡き伯爵の弟。

伯爵夫人が、結婚を強行されて体調を本格的に崩し、療養のために伯爵家の屋敷を出た。

入れ違いに、夫の弟は、結婚して、我が子をもうけている平民の妻を第2夫人に、妻との子どもを伯爵家の養女とした。

伯爵家の養女を第2王子妃にと勧めた者がいて、実父の伯爵は乗り気。

策略と陰謀の匂いがする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。 最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。 でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。 記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ! 貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。 でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!! このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない! 何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない! だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。 それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!! それでも、今日も関係修復頑張ります!! 5/9から小説になろうでも掲載中

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

処理中です...