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第4章 学生色々。学校でのトラブルって、避けられるものと、避けられないものがあるんだよね。

84.口を滑らかにする話題って?

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マーゴットの話を一通り聞いたジョンストン伯爵家の嫡女ナユカと使用人達は返答に窮していた。

無駄に沈黙が続きそう。

マーゴットは、水を向けてやることにした。

「ジョンストン伯爵家としての回答までの時間、わたし達3人の質問に答えなさい。ジョンストン伯爵家としての回答をすぐに用意出来なくても、質問の答えを考えることは出来る。」

バネッサは、ナユカの態度について何を考えてのものだったか、聞きたいと思った。
しかし。
キャスリーヌが早かった。

キャスリーヌは、バネッサが口を開きそうなので、先に質問を繰り出した。

せっかく引き締まった空気をダレさせるのは、今じゃない。

バネッサは、まだそういうやりとりに疎いのだろう。

バネッサの聞きたいことは、ナユカの思考だろうとキャスリーヌは見当をつけている。

ことが起きてから、何を考えていたか、なんて聞いても、意味がないとキャスリーヌは思う。

過去に何を考えても、考えていなくても、結果は変わらない。

結果が変わらないなら、することも変わらないまま。バネッサがナユカの心情を聞いても、バネッサの納得のいく答えは返ってこないとキャスリーヌはふんでいる。
答えを聞いてしまえば、バネッサの心のモヤは晴れるのか?
バネッサは、確かめたいのだろう。
友人の善意を。

相手は、ナユカだしね、とキャスリーヌは懐疑的だ。

バネッサが聞きたいなら、止めない。

理解することも、理解を求めることも困難な人間はどこにでもいる。

バネッサが学び、成長する機会が今なのだろう。

傷つきはしても、立て直せる。

必要事項を聞いてからなら、見守るか。

「ハーメリー・ジョンストンに貴族教育を施さないまま、貴族社会に入れたのは、誰の意向?」
とキャスリーヌ。

ナユカに、ナユカ自身のことを話させるのは、話すことに抵抗がなくなってから。

まずは、口を割りやすい話題がいい。

誰かに話しても、罪悪感がわかない。
本当は不服で、誰かにこそっと話したくなるような。
誰かに話しても、咎められないような。

そんな話題。

ハーメリー・ジョンストンの名前は、ナユカ・ジョンストンの口をどれだけ、滑らかにしてくれるだろうか。
キャスリーヌは期待している。

「話を聞く前に結界を張るわ。音が漏れないように。コーハ王国側で1人、わたしが結界を張る。ジョンストン伯爵家も1人、張りなさい。二重にするわ。念のために。」
とマーゴット。

ニンデリー王国は、マーゴット、キャスリーヌ、バネッサの母国ではない。

ジョンストン伯爵家は、味方ではない。

足の引っ張り合い、足の掬い合い。

用心に越したことはない。
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