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第3章 学生の数だけ、物語がある。物語には創り手と演じ手がいるわけで。主役と脇役が交差したりもするよね。

60.いるはずのない人。その名をチェール・モンス。

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マーゴットとキャスリーヌは、いるはずのない人を学園内で見つけた。

その国の民が成人していないうちから、国外にいるのは珍しい。

その国の民は、全国民が魔法を使えるように、と、赤ん坊のうちに魔法生物を寄生させることを義務付けている。

魔法生物に拒絶反応が出た子どもは、魔法生物を使って魔法を使うことがかなわないので、成人と共に国を出る。

逆に言うと、どんなことがあっても、成人までは、国民を国から出さない。

そんな国の国民が、新入生にいる。
初日、2日目と気づかなかったが、マーゴットとキャスリーヌ、バネッサと同じ新入生の平民クラスに在籍している。

建国理念に反するようなことをする?

その国の国民は、生まれながら魔法が使えない。
しかし。
国土は、魔法が使えないと生活できない仕様になっている。

魔法生物が寄生しない赤ん坊を国から出ていくよう教育して、国から出しているのは、魔法がつかえないと、その国では生きていけないから。

魔法が使えなくても、他の国では生きていける。

だから、魔法生物が寄生しなかった赤ん坊は、成人したら国を出ていき、二度と戻らない。

戻ったら、魔法を使えないと生活できないから。

国土を変えるのではなく、住む人間を変えて住み続ける柔軟性。

その国の国土は、全土が魔法を使用する遺跡なのだ。

その遺跡を作った人々は、もういない。
入れ代わり立ち代わり、様々な人や人外が遺跡を住処にしてきたが、あるときから遺跡を永住先にした者がいて、遺跡を国土に定め、国を興した。遺跡に永住を決めた人々の子孫が、その国の国民である。

マーゴットとキャスリーヌは、いるはずのない同級生チェール・モンスの所在は、気が向いたら、確認することにした。

魔法生物が寄生しそこなった赤ん坊は、魔法生物を寄生させようとして失敗した名残りが残る。

個人差はあるが、15歳を過ぎると名残りは消えていくので、一目で、名残りがわかるチェール・モンスが、国の外にいることを気に留めておくことにしたのだ。
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