子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第3章 学生の数だけ、物語がある。物語には創り手と演じ手がいるわけで。主役と脇役が交差したりもするよね。

49.貴族と平民の常識が違うことを互いに理解して動かなければ、トラブルが拡大する。

上級生の貴族クラスのご令嬢が、新入生対象の講座の説明会に飛び入り参加して、新入生の平民クラスにいるお嬢様のうち、ガランとベイモンのご令嬢に名乗り出て、自分のところに来るようにと言いおいた。

そんなもの、ふーん、何か言っているわ、と流していれば済む話だ。

げんに、ガランとベイモンのご令嬢は、雑音を無視している。

しかし、新入生の平民クラスの平民は、貴族に耐性がない。
平民の間では、上級生に呼ばれていたら、下級生は無視し辛いので、呼び出しに応える。
平民クラスの何人かは、上級生の貴族令嬢の言う通りにしなくては、と考えた。

教室内でひと騒ぎした後、平民クラスの新入生ね何人かは、自主的に、ガランとベイモンのご令嬢の名前を連呼しながら、学校の中を探し歩いた。

お嬢様方のクラスメイトだから、呼んでくると上級生の貴族令嬢に自分達から言いに行った平民クラスの新入生は、上級生の貴族令嬢から、ガランとベイモンのご令嬢の名前を教わって、初めて名前を知ったという。

登場が、全員平民なら、余計なお世話、で済む。

呼び出した方と呼び出された方が、面識のない貴族令嬢同士。

平民クラスの新入生は、人目につく場所で、クラスメイトのお嬢様方に名前で呼びかけ、上級生の貴族令嬢の呼び出しを告げ、早く行かないとダメだと告げた。

呼び出されたガランとベイモンのご令嬢は、呼び出しに応じる気はないとその場で、拒否。

ご令嬢は3人共、名前を呼ぶ許可を与えていないと、クラスメイトの平民クラスの新入生に対し、不快感を露わにした。

平民クラスの他のクラスメイトにも確認をとったところ、平民クラスのご令嬢の3人は、クラスメイトに対して、ご令嬢に名前で呼びかけることを禁止し、お嬢様と呼ぶことを教室内で命令済み。

ガランのご令嬢は、大騒ぎする平民クラスのクラスメイトにその場で宣言した。

『階級社会に対する認識がおかしい平民について問題提起し、学校側に抗議を入れる。』
『呼び出しをかけた上級生の貴族令嬢に関しては、外交部に報告して、今後は外交部が対応する。』

それから、ガランのご令嬢は、平民クラスのクラスメイトを諭した。
『貴族であるわたし達3人を煩わせることに慎重になりなさい。』
と。


アートン・ミールは、平民クラスの新入生の担任として。
ご令嬢3人から拒否された平民の学生からの相談を受けた後に、ご令嬢3人からも報告と学校側への抗議の申し入れを聞くことになった。

アートン・ミールは、ニンデリー王国でも、コーハ王国でもない、別の国の王子だ。
後継ぎではないから、外国で教員をしているが、その生まれと育ちゆえに、王侯貴族についての理解は深い。

上級生の貴族令嬢が、貴族らしく、間に人を介して紹介を待てば、問題は起きなかった。

平民クラスの新入生が、平民の常識だけで突っ走らなければ、問題は大きくならなかった。

今更、起きてしまったことをどうにか出来るはずもない。

平民クラスの新入生に、貴族と平民の違いを早急に教えなくては。

ガランとベイモンのご令嬢は、今のところ、家を動かしていない。
家が動いたら、経済制裁くらいは仕掛けてくるだろう。