子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第3章 学生の数だけ、物語がある。物語には創り手と演じ手がいるわけで。主役と脇役が交差したりもするよね。

46.新担任アートン・ミール。

アートン・ミールは、ニンデリー王立学園の教員だが、担任などしたことがなかった。

だって、面倒だから。

研究のために切磋琢磨する学生を指導するのは、まあいい。

12歳にもなれば、教員が気を配らなくても、自分が分からないことを自身で事務室へ聞きにいくくらい、そうするものだと指示しておけば、出来るだろう？とアートン・ミールは考えている。

自主性のない学生は、ニンデリー王立学園にそぐわない。

受け身がいいなら、面倒見が良い学校を選べばいい。

それがアートン・ミールの考え。
だから。
アートン・ミールは、担任になるクラスを受け持ってこなかった。

毎年、担任を拒否してきたアートン・ミール。

今年も通例のように拒否したら、昨日、他に人がいないと学園長に頼み込まれた。

話を聞いてみると、確かに適任者がアートン・ミールくらいしかいないと、アートン・ミール自身も思ったので、引き受けることにした。

外国のご令嬢相手に、失態を重ね過ぎ。

家ではなく、国の外交部が乗り込んでくるのも頷ける。

ガランもベイモンも、子爵家と男爵家とはいえ、世界有数の資産家貴族。
残る1人も伯爵家。

なんで喧嘩売った？
勝てるわけないぞ？
世界を甘く見すぎ。
というのが、事情を説明されたアートン・ミールの正直な感想だ。

第2王子の暴挙により、第1王子派と目された教員が何人も辞めさせられたり、停職処分になっている。

第2王子派の教員は、主流がいなくなったために、幅をきかせるようになった。経験もさることながら、常識が足りていない。

周りをかえりみずに、自分の理想を追い求めて、突っ走る傾向にある。

政治問題にノータッチを貫く教員は、学園内の騒動には、完全に沈黙しきっている。

国の外交部が乗り込んでくるような家のご令嬢方相手に、これ以上の失態は、学園としてまずかろう。

アートン・ミールが担任を引き受けたのは、アートン・ミール自身が職場であるニンデリー王立学園に愛着があり、無くなったら嫌だから。

アートン・ミールは平民クラスを睥睨する。
3人のご令嬢方には、問題の芽はない。
ご令嬢方以外の平民クラスの学生が、今にも問題を起こしそうだ。

今年の新1年生の平民クラスは1クラス。
1クラスしかない平民クラスは、中等部の間、クラス替えがない。
クラス単位で親睦を深める必要はないが、長い目で見て、考えて人付き合いをしていかないと、学園生活が面倒になるだろうことを早めに自分で気づいてもらいたい。