子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第3章 学生の数だけ、物語がある。物語には創り手と演じ手がいるわけで。主役と脇役が交差したりもするよね。

43.友達作りって、どうするんだっけ？話しかけたら、ナンパ師みたいになった。

「今、何をしようとしていた？」
と聞いてくるから。
「何でもよくない？」
と返す。

「あの3人に話しかける気だったでしょ？ダメだからね、絶対に。」
と言われて、あたしはカチーンときた。

「何で？あんたが、嫌なら、あんたは話しかけなければいいじゃん。」

「あたしのことはいいの。ベリーベリーのこと。」

「意味わからん。説明する気はあるの？」

「だって、友達に酷いこと言ったし、友達も嫌がっているし。」

「んで、あんたはどうなん？あの貴族の3人と仲良くしたいん？」

「え？友達とは仲良くしたいよ？」

「あの3人は、あんたの友達に含まれるん？」

あ、黙った。
面倒臭い。
あの3人と仲良くなりたい気持ちはあるけど、今の友達があの3人と口論になったせいで、仲良くなれないってとこ？

彼女は寮に入ったから、寮の中で仲良くなった人かな？
「あんたが、あんたの友達の機嫌を気にするのは、あんたの勝手。あんたの事情とあたしの都合は違う。」

あたしは、自宅通学だから、友達作りはこれから。

人相も人となりも名前さえも知らない人のために、自分のしたいことを犠牲にするような、生贄体質じゃないから、あたし。

「あんたの友達が、あたしの友達になるとは限らないんだって。
あんたの友達で、あたしの友達になった人はいないから。」
あたしは、彼女に現実を突きつけてみる。

「え？そんなことないよ。
互いに理解が足りないだけだよ。これから、これから。」

彼女の言葉は、重みがないんだよね。

「相互理解のための努力をするのは、あんただよ？これから、頑張るなら、頑張りな。成果が出たら、出たときに教えてくれたらいいわ。」
この際だし、あたしの気持ちは、はっきり伝えておこう。
「友達作りは、それぞれで、頑張ったらいいとあたしは思う。」

クラスの中で、あたしと彼女はまあまあの注目具合。

あたしは、彼女の手を剥がして、目的の人物のところへ。

「初めまして。あたしはベリーベリー・イニー。友達募集中。あんたがあの3人に話しかけたから、気が合うと思って、話をしにきたわ。時間があったら、喋らない？」

クロッグ・カーブは、ぶーと吹き出した。

あたしも、どこのナンパ師かよ？と、喋りながら自分でツッコミ入れていたわ。

「マジ？おれが、第一号の友達候補なわけ？」

「うん。あたしより先にあの3人にナンパした度胸とセンスと運の良さ。今、会話していて、話しやすいとあたしは思っているけど、そっちはどうなん？」

「会話が面白い。第一号？なるなる。なんて呼ぶ？ベリーベリー？イニー？」

「どっちでも。同姓同名には、まだ会ったことがないから。」

「そういう感じ？じゃ、ベリーベリーで。」

「あんたは？クロッグ？カーブ？」

「クロッグで。」

「よろしく、クロッグ。」

「よろしく、ベリーベリー。」

あたしは、友達候補第一号とたくさん話をした。