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第2章 学園生活開始。担任の先生は、どこの回し者ですか?

39.貴族の情報は価値がある。個人情報を不特定多数にばら撒く自己紹介なんて、やりたいわけがない。

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「学校の規則に違反して処分されたくないので、セイラ・マンド先生が自己紹介について確認して、問題がないと分かるまで延期でいいです。」
とクラスメイト。

「先生や学校からの連絡事項は、他にありますか?」
とクラスメイト。

「皆で協力しあって、楽しく悔いのない学園生活を送りましょう。」
とセイラ・マンド先生。

「解散ですか?」
とクラスメイト。

「解散です。」
とセイラ・マンド先生。

担任の2人が、教室から出ていく。

シャキシャキと発言して、セイラ・マンド先生の戯言を終わらせた立役者は、担任2人がいなくなると、わたし達の方へ近寄ってきた。

「お嬢様達は、3人とも貴族ですか?」
とクラスメイト。

「3人全員が貴族。貴方は?」
とキャスリーヌ。

「私は平民です。クロッグ・カーブと言います。」
とクラスメイト。

「わたし達の個人名は伏せるわ。呼びかけるときは、先程と同じ、お嬢様にしなさい。」

「お名前は教えていただけないんですか?」
とクロッグ・カーブ。

丁度よい機会なので、聞き耳を立てているクラスメイトにもわたしは伝えておくことにする。
「貴族の名前は、知るだけで価値があると覚えておきなさい。
自己紹介をしない校風が、この学園の地位を押し上げたことをこの機会に理解しておくといいわ。
個人情報を不特定多数に開示しないからこそ、身分に関係なく、忌憚のない意見交換が行われて、実力主義が根付いた。
貴族が貴族の名前を名乗るだけで、上下関係が出来る世俗を学問に持ち込ませないことで、ニンデリー王立学園は、学術研究の分野に食い込んだ。
自己紹介をしないのは、ニンデリー王立学園の創立理念と言っても過言ではない。」

「貴族の個人情報を開示しないのは、貴族自身の安全と、周囲の安全のためでもある。」
とキャスリーヌ。
「貴族の情報知らなければ、犯罪に巻き込まれることも、加担して処罰されることも減るよ。」

「クラスメイトのためだったんですか?ご配慮、ありがとうございます。」
とクロッグ・カーブ。

「犯罪が起きないにこしたことはないからね。犯罪の間口を広げる行いは、犯罪を助長する。犯罪を犯すハードルを下げるのは、お互いの今後のために良くない。」
とキャスリーヌ。

「先々を見越してのことだったのですね。ありがとうございます。」
とクロッグ・カーブ。

「話しかけてきた用件は?」
とキャスリーヌ。

「お嬢様達が、階級社会であるはずなのに、と訝しがっている理由として、思い当たるものをお伝えしようと思います。」
とクロッグ・カーブ。

狙いすましたかのように現れたのは、なるほど。

「この場で、聞くわ。」
わたしは、話を促した。
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