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第2章 学園生活開始。担任の先生は、どこの回し者ですか?

38.先生は、生徒の生活のお膳立てをしない決まりになっている。

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「プレゼン希望者は、プレゼンが出来る状態になったら、わたし達3人に学校で伝えなさい。プレゼンのタイミングは、時期を見計らって、とする。」
とわたしはクラスメイトに伝える。

クラスメイトが何を対価と考えと、何を要求してくるか。

興味深い。

コーハ王国の平民は、貴族に一方的にごねて要求を通そうという発想は、まずしない。

不敬罪で、斬り捨て御免があるからだ。

平民からの要望を貴族に伝えるときは、報告、相談、という形をとる。

コーハ王国は、階級社会。

棲み分けが出来ている。

ニンデリー王国も階級社会のはずだが、地殻変動が起きた?

学園の校風にしては歪。

平民クラスのクラスメイト、その全員がおかしいわけではないようだけど。

「先生方、他の連絡事項は、なにかありますか?」
とクラスメイト。

「連絡事項?こんなときに?」
とセイラ・マンド先生。

「今日は、連絡事項を聞くために、登校しているのではないのですか?」
とクラスメイト。

「連絡事項を連絡しない担任は困ります。」
とクラスメイト。

平民クラスの生徒に困ると言われて、セイラ・マンド先生は冷静さを取り戻した。
「明日は、8時半に教室にいること。席は自由。持ち物は筆記用具。明日は校内見学を予定しているから、歩きやすい格好で。今日は、クラス内で親睦を深めます。」
とセイラ・マンド先生。

「親睦は、何をするんですか?」
とクラスメイト。

「自己紹介してから、グループを作って、グループ内で話をするの。」
とセイラ・マンド先生。

セイラ・マンド先生は、自身の学生時代の経験で、役に立ったことをなぞっているのだろう。

ニンデリー王立学園の先生なのに、ニンデリー王立学園の理念を無視する発言をしていて、その自覚がない。

学生時代は、主体的に動いていたのではなく、受動的だった?

学生時代も、今日も。
誰が、どういう意図で、そうしたのか、理解していないように見える。

「今から自己紹介をすると聞こえましたが、学校の方針はいつ、変更になったのですか?
それとも。
セイラ・マンド先生の意向によるものですか?
お答え下さい。
クラス内で、全員が全員に自己紹介する方式は、ニンデリー王立学園に相応しくないとされてきました。」
とキャスリーヌ。

「自己紹介をしたくないなら、しなければいいのよ。人のことを馬鹿にするなら、来なければいいのに。」
とクラスメイト。

王立学園の創立理念を蔑ろにする意味。
ニンデリー王立学園は、ニンデリー王家が運営している。
王家そのものではなく、王家からある程度の独立性を認められていたとしても。
王家に楯突く行いは許容されない。

王立学園の創立理念は、創立者となった、当時のニンデリー国王の肝いり。

既に草葉の陰とはいえ、学園創立者である当時の国王陛下が掲げた創立理念を軽んじていいわけがない。

「王立学園の決まり事を破ったなら、破らせた先生と破った生徒の両方に処分が下ります。
セイラ・マンド先生が言ったから、はニンデリー王立学園の生徒にとっては、免罪符になりません。
従ったのは、生徒自身の判断と評価されます。」
キャスリーヌは丁寧に説明している。

「いつから、変更になったのですか?セイラ・マンド先生。」
とキャスリーヌは、セイラ・マンド先生に聞いている。

学生達が自主的に自己紹介をすることに関しては、問題がない。
今までは、生徒の誰かが音頭を取ってきたのだと思う。
ニンデリー王立学園は、先生が、率先して、生徒同士の親睦を深めることをよしとしない。

貴族に自己紹介なんてさせられない、という現実的な問題が解決できる。

1番は、実力主義をうたうのに、最初に属性を披露しては邪魔になるから。
討論するときに、忖度が働いたら、学問が停滞する。
何のために、学校を作ったのか?
学問の発展を国の発展に役立てるため。

研究や検証といった現場で、身分差を意識しないための工夫。
自己紹介をするときは、個人で。
自己紹介をしなくても強制しない。

先生が、生徒のお膳立てをしないことで、先生と生徒の両方を守るための規則。

指導する先生と生徒の立場が、階級社会での位置や、派閥という属性の情報に左右されないように。
ニンデリー王立学園は、個人情報の公表を強制しないと決まっている。

この決まりが、ニンデリー王立学園の躍進の原動力。

変更することは、王立学園の在り方を変えることと同義。

王立学園を維持するなら、変えてはいけない決まり。

わたしやキャスリーヌは、身の安全のために、個人情報をばら撒かない。

資産家の娘は、どんな層にも、標的にされる。

自己紹介を強制しないこと。
これは、わたしとキャスリーヌが、ニンデリー王立学園を選んだ理由の1つでもあるから、詳しく調べたのだ。

セイラ・マンド先生が、勤務先のことを知らなすぎるので、わたしもキャスリーヌも、驚きの連続だ。
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