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第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。

28.ニンデリー王国に派遣されていた担当者が、帰国したよ。ニンデリー王国の王族の内情をお土産に。

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ハーマルが頭を撫でられ終わった頃。
ニンデリー王国に派遣されていた担当者が、一区切りつけて帰国した。

「またニンデリーに行かなくちゃならんのだけどさー。」
と担当者。
「わりと、シャレにならない取引があったっぽいから、コーハ王国の窓口だったアレックス・オッドアに、直接話を聞きたいんだよねー。時間あるかなー。」

「タイミングばっちり。アレックス・オッドアなら、午後一番に、召喚状持って来るぞ。オッドア伯爵と一緒に。」
と先輩。

「召喚状?何かやった後?」
と担当者。

「同じ案件だよ、安心だろ。アレックスの父のオッドア伯爵がさ、ハーマルが当事者の少女の兄と気づかないで、少女を悪者扱いしてな。
アレックスをニンデリーに派遣する代わりに、少女と少女の家に対する条件を並べたてた。
アレックスを召喚状で召喚するとハーマルが決めると、ハーマルが若造だから、と職員の交代を要求してきた。
その要求は、ハーマルが、はねつけてある。」

「ヤバすぎない?父子揃って。ハーマル、その親子と会うとき、俺も、同席していいよね?上の人も呼ぼう。」

「ニンデリーで、どんなネタ掴んできたんだよ。」

「てんこ盛り。まず、妹ちゃんの件だけど、ハーマル先に聞きたいよな?」

「教えてください。」

「寮の妹ちゃんの部屋とベイモン男爵令嬢の部屋は、部屋が整い次第、入学前に予定していた特選ルームへ。部屋の調整が終わるまでの期間のホテル費用は、全額ニンデリー持ち。」

「学校のクラスは、貴族に絡まれないように、コーハ王国の3人は平民クラス。」

「授業をはじめとする学校生活全般に差し障りがないようにしていただければ、十分です。」
とハーマル。

「他の貴族のご子息やご令嬢は、平民クラスにいないのか?」
と先輩が、ハーマルの代わりに聞いてくれる。

「今回しでかしたのは第1王子派閥だけど、第2王子派閥も控え目に言って、近づいたらダメなんだよねー。」
と担当者。

「ヤバいのしか、いないのか?」
と先輩。

「第2王子も第2王女も、生母の側妃様も王族としての教育を受けていないんだよねー。」
と担当者。

「「「そんなことが?」」」

「濁されたけど、国王陛下の私的な家族かな。公的な場での活躍は求められていないし、出てこない。」

「国王陛下の私生活の充実のために、愛人とその子どもの存在を国が認めた、という立ち位置。」

「ダークな内情を聞いてきたな?」
と先輩。

「ニンデリーの今代の国王陛下は、学園で出会った男爵令嬢と恋に落ちたんだとさ。
婚約者の令嬢と結婚して、王女、王子が1人ずつ生まれた後、男爵令嬢を側妃に迎え、第2王子と第2王女が誕生。」
と担当者。

「今から、泥沼化した話を聞くわけだな、俺ら。」
と先輩。

「愛人と愛人の子どもが、正妃と正妃の子どもより弁えないと、後継者争いが起きるから、そうならないように、事前に手を打っておいたそうだ。国の重鎮達が。」
と担当者。

狭い世界で生きているうちは問題など起こりようもなかった。

「第2王子は学園に通い始めて、第1王子と自身の違いを知り、王子らしさを示すのに躍起になったことが、ことの発端。」

「教育に失敗したのか?」

教育にも誘導にも失敗したわけだ。

「兄よりもできる、兄よりもすごい、という評判が欲しい第2王子は、王立学園に王族としての権限を行使するようになった。」

普通は、戦時中などの非常事態にしか、やらないものらしい。

「今現在、学園は第2王子の意向を無視できない。ニンデリーの国王陛下は、今まで、第2王子を止めていない。」

容認?
放任?

「今回、第2王子と同母の第2王女が入学するにあたり、トラブルメーカーが増える予想が出ている。」

「第2王女は、実際のところどうなんだ?」

「国王陛下から可愛がられて、愛されて生きてきたから愛に飢えてはいないけれど、躾には不安が残る。」

「あかんやつ!」
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