子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。

27.マーゴットの3番目の兄ハーマルと職場の先輩達。

相談ブースから、出てきたハーマル。

「おう、お疲れ様。」
と先輩が声をかける。

「午後一番で、召喚状の客が来ます。」
とハーマル。

「召喚状！誰だ？」

「アレックス・オッドア。オッドア伯爵家次男です。」

「つい最近、聞いた名前だなあ。」

「はい。オッドア伯爵の相談は、ニンデリー王国の王立学園に入学した長女バネッサ嬢の待遇改善です。」

「バネッサ嬢も待遇が悪いのか。」

「オッドア伯爵が主張することには。
バネッサ嬢の待遇が悪くなった原因は、オッドア伯爵家の次男アレックスが引率を断わられて、ニンデリー王国の王太子に紹介できなかったせい。」

「オッドア伯爵の考える対策として、アレックスをニンデリーに派遣するのはやぶさかでない。
ただし、アレックスを派遣するなら、引率を拒んだ2人の少女が、アレックスに従順になることが条件で、2人の家からの謝罪はいつでも受け付けている、と言うことでした。」

「召喚状を発行するから、持ち帰って、午後一番にアレックスと出頭するように言ったところ、職員が若すぎるから交代しろ、という要求には応じませんでした。」

「午後一番に召喚状持ったアレックスがオッドア伯爵と来なければ、盛大に出迎えを出します。」
とハーマルは、落ち着いて報告する。

「ハーマル、いい子だ。」
と先輩がハーマルの頭を撫でた。

「腹立っただろうに、仕事を遂行した。」
と次の先輩が、ハーマルの頭を撫でる手を待機している。

「偉いぞ。」
と3人目の先輩も。

妹が理不尽な目にあった諸悪の根源の親が、諸悪の根源を正義の味方扱いして、妹を悪者にして吹聴されたら。
兄が腹を立てても、おかしいことではない。

なんといっても、妹は12歳。

兄のハーマルは、19歳。

2人が大人の悪意にさらされることに慣れるのは、もう少し後でもいい。