子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。

22.責任とって、嫁にするわ、という寝言をいうやつは、どうしてくれよう？

「ハーマル？」
と上司。

「生きていれば、いつかは死ぬんです。」
とハーマル。
「死因なんてものは、分からないことの方が多いんです。」

ハーマルがもっともらしく不穏なことを話している。

「人の寿命なんて、人にはわかりません。生きていれば、顔見知りが死ぬこともあります。」
とハーマル。

「お話合いの途中ですが、所用を思い出しまして。今日は早退して、明日から一週間ほど休みます。」
席を立とうとするハーマル。

暗殺予告して、しれっと帰らないでくれるかな。

しかも、暗殺し終えたら、普通に出勤してくる気だよね？

殺人だからね？

ハーマルをこのまま帰してはなるまい。

家族大好きが、行き過ぎて、殺人犯が誕生しようとしている。

「ハーマル、落ち着いて。」

「早まるな。」

「国境から戻ってくるまでにどうにでもできたのに。」
とハーマル。

「どうにでも、は無理だったと思うよ、ハーマル。公爵子息と公爵家の人間がいたことを忘れていないかな？」
と内政担当。

内政担当の言葉を聞いて、当時の状況を思い返してみるハーマル。


内政担当は、ハーマルの上司の弟。
ハーマルの上司が公爵家の嫡子で、王太子の側近。
内政担当は、公爵家の次男。

国境から、王都に移動がてら、伯爵子息を1人消すくらい、ガラン子爵家にとって、難しくない。

でも、目撃者になりそうな公爵家の次男と公爵家の使用人もまとめて、となると、後始末が大変。

国境から、王都への移動のタイミングは、得策ではない。

消すなら、王都にいる今が1番では？

ハーマルが決意を新たにしそうである。

「オッドア伯爵家からガラン子爵家への婚約の申し入れはさせない。」
と王太子。

「うちの妹と婚約しようと考えた罪は、死んで詫びさせよう。」
とハーマル。

「罪にはならないから、ハーマル。」

「妹に婚約を申し込もうとしたとか、婚約を考えているとか、結婚したい、とか、結婚する、とか、オッドア伯爵家が愚かさを発揮したら、オッドア伯爵家は、系図が変わっても仕方ないですよね。」
とハーマル。

ハーマルの頭の中で、オッドア伯爵とアレックスの没後のプランが練られていそうだ。

「オッドア伯爵家には、口外を禁じるよ、ハーマル。」
と王太子。

「胡乱な動きがあれば、容赦しません。」
とハーマル。