8 / 774
第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。
8.ハズレ兄のハズレ具合が、上方修正されていく。そんな時、どうする?
しおりを挟む
「このままだと、アレックスお兄様と一緒になるわ。」
とバネッサが心配している。
「何とかするから、大丈夫。」
わたし達は、異国の学校への期待を語り合った。
バネッサについてきた使用人はバネッサじゃなくて兄が主人だから、その使用人の前で、有益な情報は話さない。
他愛無い話をしているうちに国境へ。
国境では、出国手続きがある。
「バネッサ。出国に必要なものは?」
わたしが聞くと、バネッサは、1人残った使用人の顔を見た。
バネッサの側にいた使用人は、馬鹿にしたように、わたし達を笑った。
「なんですか、あたしの顔になんかついていますか?ジロジロ見てきても、何もありませんよ。」
この使用人が、アレックスの側の人間だと、よく分かるわ。
「バネッサ様が、いきなり反抗期になるから、本当に迷惑です。アレックス様が全て手配してくださるんですから、アレックス様の言う通りにしていれば良かったんですよ。」
バネッサは、れっきとした伯爵令嬢。
いくら、兄アレックスの使用人だからって、主家のご令嬢に対する態度?
バネッサの横の使用人が、顎でしゃくった方向には、バネッサのハズレ兄アレックスがいる。
「ほら、アレックス様がお待ちですよ。一生懸命、謝ってきたらどうですか?妹だから、謝れば済むんですよ。どうせ。」
使用人が、無礼な台詞を吐いている間に、アレックスが、わたし達の目の前に、大股で歩いてくる。
威嚇してる?
ハズレ兄が、バネッサを?
アレックスは、バネッサに聞いてきた。
「バネッサ、出国の手続きは、1人で出来そうか?困っていないか?兄を兄とも思っていないようなバネッサだけど、まだまだお子ちゃまだからな。許してやってもいい。」
アレックスは、バネッサの出国手続きに必要な一式を片手で、明かりにかざしたりし始めた。
バネッサは、兄に向かって、気丈に言い返した。
「出国手続きに必要な一式は、私のもので、アレックスお兄様のものではありません。私に全部渡してください。」
「どうしようっかなー。死んでくれ、と、バネッサに言われて傷ついたんだよ。言葉の暴力だよ。分かるかな?言葉の暴力ってさー。剣で切るだけが、暴力じゃないんだよ。心がさー、血を流しているんだよ。痛いんだよね。」
アレックスの瞳には、嗜虐の喜びが踊っている。
「痛いなー。心を傷つけられたなー。バネッサは、キツイ女の子だから、兄は辛いなー。」
アレックスは、わざと道化のように面白おかしく話してみせる。
ふいに。
アレックスはおどけた表情を消し、冷え冷えした視線と声をバネッサに向けてきた。
「バネッサさあ。学校、行けなくても、いいわけ?強情はってないで、謝れば?友達ともせっかく仲良くなったんだ。一緒に、仲良く謝ってもらうんだよ。」
証拠十分。
身分証明をたてにバネッサを脅したので、わたしの使用人を使って、わたしは人を呼んだ。
わたしの3番目の兄ハーマルと兄の知人が、国境へ見送りに来てくれている。
バネッサが、出国に必要な身分証明の手続きをたてに、実の兄アレックスから脅されたとわたしが話す。
バネッサの兄アレックスが、バネッサとわたし達を引率する予定だったが、バネッサの兄アレックスの目論見に気づき、バネッサと私とキャスリーヌが、引率と、目論見に加担するのを拒否したこと。
アレックスの目論見の内容。
わたしの話を聞いた3番目の兄ハーマルは、怒っているが、深窓のご令息タイプなので、全く怖くない。
わたしは、兄ハーマルの付き添いできている男に、バネッサのハズレ兄アレックスを頼んだ。
わたしの目当ては、わたしの兄ハーマルではなく、兄の付き添い。
兄ハーマルの付き添いは、兄ハーマルの直属の上司の弟なので、後継ぎではないが、公爵子息である。
公爵子息の権力を存分に使って、伯爵令嬢バネッサのハズレ兄アレックスの出国を差止めてもらう。
ニンデリー王国に圧をかけてほしいが、ハズレ兄アレックスが証拠を残していない可能性もある。
期待はすまい。
とバネッサが心配している。
「何とかするから、大丈夫。」
わたし達は、異国の学校への期待を語り合った。
バネッサについてきた使用人はバネッサじゃなくて兄が主人だから、その使用人の前で、有益な情報は話さない。
他愛無い話をしているうちに国境へ。
国境では、出国手続きがある。
「バネッサ。出国に必要なものは?」
わたしが聞くと、バネッサは、1人残った使用人の顔を見た。
バネッサの側にいた使用人は、馬鹿にしたように、わたし達を笑った。
「なんですか、あたしの顔になんかついていますか?ジロジロ見てきても、何もありませんよ。」
この使用人が、アレックスの側の人間だと、よく分かるわ。
「バネッサ様が、いきなり反抗期になるから、本当に迷惑です。アレックス様が全て手配してくださるんですから、アレックス様の言う通りにしていれば良かったんですよ。」
バネッサは、れっきとした伯爵令嬢。
いくら、兄アレックスの使用人だからって、主家のご令嬢に対する態度?
バネッサの横の使用人が、顎でしゃくった方向には、バネッサのハズレ兄アレックスがいる。
「ほら、アレックス様がお待ちですよ。一生懸命、謝ってきたらどうですか?妹だから、謝れば済むんですよ。どうせ。」
使用人が、無礼な台詞を吐いている間に、アレックスが、わたし達の目の前に、大股で歩いてくる。
威嚇してる?
ハズレ兄が、バネッサを?
アレックスは、バネッサに聞いてきた。
「バネッサ、出国の手続きは、1人で出来そうか?困っていないか?兄を兄とも思っていないようなバネッサだけど、まだまだお子ちゃまだからな。許してやってもいい。」
アレックスは、バネッサの出国手続きに必要な一式を片手で、明かりにかざしたりし始めた。
バネッサは、兄に向かって、気丈に言い返した。
「出国手続きに必要な一式は、私のもので、アレックスお兄様のものではありません。私に全部渡してください。」
「どうしようっかなー。死んでくれ、と、バネッサに言われて傷ついたんだよ。言葉の暴力だよ。分かるかな?言葉の暴力ってさー。剣で切るだけが、暴力じゃないんだよ。心がさー、血を流しているんだよ。痛いんだよね。」
アレックスの瞳には、嗜虐の喜びが踊っている。
「痛いなー。心を傷つけられたなー。バネッサは、キツイ女の子だから、兄は辛いなー。」
アレックスは、わざと道化のように面白おかしく話してみせる。
ふいに。
アレックスはおどけた表情を消し、冷え冷えした視線と声をバネッサに向けてきた。
「バネッサさあ。学校、行けなくても、いいわけ?強情はってないで、謝れば?友達ともせっかく仲良くなったんだ。一緒に、仲良く謝ってもらうんだよ。」
証拠十分。
身分証明をたてにバネッサを脅したので、わたしの使用人を使って、わたしは人を呼んだ。
わたしの3番目の兄ハーマルと兄の知人が、国境へ見送りに来てくれている。
バネッサが、出国に必要な身分証明の手続きをたてに、実の兄アレックスから脅されたとわたしが話す。
バネッサの兄アレックスが、バネッサとわたし達を引率する予定だったが、バネッサの兄アレックスの目論見に気づき、バネッサと私とキャスリーヌが、引率と、目論見に加担するのを拒否したこと。
アレックスの目論見の内容。
わたしの話を聞いた3番目の兄ハーマルは、怒っているが、深窓のご令息タイプなので、全く怖くない。
わたしは、兄ハーマルの付き添いできている男に、バネッサのハズレ兄アレックスを頼んだ。
わたしの目当ては、わたしの兄ハーマルではなく、兄の付き添い。
兄ハーマルの付き添いは、兄ハーマルの直属の上司の弟なので、後継ぎではないが、公爵子息である。
公爵子息の権力を存分に使って、伯爵令嬢バネッサのハズレ兄アレックスの出国を差止めてもらう。
ニンデリー王国に圧をかけてほしいが、ハズレ兄アレックスが証拠を残していない可能性もある。
期待はすまい。
6
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる