7 / 763
第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。
7.バネッサの兄アレックスの適職を当てよう。女を働かせて、女の稼ぎで楽しようとする男のことよ?
しおりを挟む
「歓迎するわ。」
わたしは、バネッサのために別の椅子を持ち込ませた。
「席を移ったら?」
「喜んで。」
バネッサがすんなりと移動する。
「引率は不要ということで、構わない?」
「ええ。3人で。」
と妹。
「では、バネッサ。よろしく。わたしはマーゴット。隣は、キャスリーヌ。」
「よろしく。マーゴット、キャスリーヌ。」
「遺書はまだ?」
呆然としているアレックスに聞いてやる。
「ふざけるのはたいがいにしろ。今さら逃げられると思うな。」
とアレックス。
「さて、出発。」
わたしは、キャスリーヌとバネッサを促す。
「わたしより先に出ていかなかったら、公爵子息に迎えを要請するわ。」
とアレックスに言ってやると、苦虫を噛み潰したような顔をして出ていく。
同じ兄でもうちと大違い。
わたしの兄達は、女性に、つまり、わたしに、優しく、兄として立派であろうとする。
兄の当たり外れ。
妹にとって、兄の存在の大きさを実感したわ。
わたしは、女子だけで行くから、と言い切って、ハズレ兄を近寄らせなかった。
オッドア伯爵家の使用人は、どっちつかずでうろうろしていたけれど、1人を除いてアレックスについていった。
その1人も、バネッサのために残ったというより、誰か残らないといけないから、残ったけど、アレックスについていきたかったと心残りが、ありありと伝わってくる。
使用人失格。
バネッサが不要なら、途中で返そう、諸悪の根源へ。
わたしとキャスリーヌとバネッサは、ざっくばらんに話をしながら、国境へ向かっている。
わたし達の前を、ハズレ兄と使用人と護衛が進んでいる。
バネッサについている使用人は、護衛ではない。
ハズレ兄に全護衛をくっつけている。
「バネッサ。アレックスには、1人以外の使用人と護衛全部がついているけれど、いつものこと?」
「いつもは、私にも、両方ついているわ。」
バネッサは苦笑した。
「今日は、アレックスお兄様の引率ということで、全員アレックスお兄様が選んだから。」
「忠義?入学する新入生より成人済みの男性引率者を守るのが?」
肩を竦めたくなる。
「成人済みの次男と、12歳の妹。妹に護衛をつけない選択肢があるなんて。」
とキャスリーヌ。
「自分が1番大事で、妹が二の次。態度が何より雄弁。」
「私は、2人に会えて良かったわ。学生生活を台無しにするところだった。」
とバネッサ。
「自分は働かず、女の働きで食っていく男をなんていうか知っている?」
とキャスリーヌがバネッサに聞いている。
「知らない。なんていうの?」
とバネッサ。
「ヒモ。女に少し人気がある男に人気の職業。」
とキャスリーヌ。
「少し?アレックスお兄様は、女の人にモテるけれど。」
とバネッサ。
「すごくモテる男は、女が誰か1人のヒモになんかさせない。
恋人にしたがる。
ヒモは、他にモテる男がいたら、モテないような男と、拾う女がいて成り立つ関係。」
とキャスリーヌ。
わたしは、バネッサのために別の椅子を持ち込ませた。
「席を移ったら?」
「喜んで。」
バネッサがすんなりと移動する。
「引率は不要ということで、構わない?」
「ええ。3人で。」
と妹。
「では、バネッサ。よろしく。わたしはマーゴット。隣は、キャスリーヌ。」
「よろしく。マーゴット、キャスリーヌ。」
「遺書はまだ?」
呆然としているアレックスに聞いてやる。
「ふざけるのはたいがいにしろ。今さら逃げられると思うな。」
とアレックス。
「さて、出発。」
わたしは、キャスリーヌとバネッサを促す。
「わたしより先に出ていかなかったら、公爵子息に迎えを要請するわ。」
とアレックスに言ってやると、苦虫を噛み潰したような顔をして出ていく。
同じ兄でもうちと大違い。
わたしの兄達は、女性に、つまり、わたしに、優しく、兄として立派であろうとする。
兄の当たり外れ。
妹にとって、兄の存在の大きさを実感したわ。
わたしは、女子だけで行くから、と言い切って、ハズレ兄を近寄らせなかった。
オッドア伯爵家の使用人は、どっちつかずでうろうろしていたけれど、1人を除いてアレックスについていった。
その1人も、バネッサのために残ったというより、誰か残らないといけないから、残ったけど、アレックスについていきたかったと心残りが、ありありと伝わってくる。
使用人失格。
バネッサが不要なら、途中で返そう、諸悪の根源へ。
わたしとキャスリーヌとバネッサは、ざっくばらんに話をしながら、国境へ向かっている。
わたし達の前を、ハズレ兄と使用人と護衛が進んでいる。
バネッサについている使用人は、護衛ではない。
ハズレ兄に全護衛をくっつけている。
「バネッサ。アレックスには、1人以外の使用人と護衛全部がついているけれど、いつものこと?」
「いつもは、私にも、両方ついているわ。」
バネッサは苦笑した。
「今日は、アレックスお兄様の引率ということで、全員アレックスお兄様が選んだから。」
「忠義?入学する新入生より成人済みの男性引率者を守るのが?」
肩を竦めたくなる。
「成人済みの次男と、12歳の妹。妹に護衛をつけない選択肢があるなんて。」
とキャスリーヌ。
「自分が1番大事で、妹が二の次。態度が何より雄弁。」
「私は、2人に会えて良かったわ。学生生活を台無しにするところだった。」
とバネッサ。
「自分は働かず、女の働きで食っていく男をなんていうか知っている?」
とキャスリーヌがバネッサに聞いている。
「知らない。なんていうの?」
とバネッサ。
「ヒモ。女に少し人気がある男に人気の職業。」
とキャスリーヌ。
「少し?アレックスお兄様は、女の人にモテるけれど。」
とバネッサ。
「すごくモテる男は、女が誰か1人のヒモになんかさせない。
恋人にしたがる。
ヒモは、他にモテる男がいたら、モテないような男と、拾う女がいて成り立つ関係。」
とキャスリーヌ。
4
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
何とか言ったらどうなんだ!
杜野秋人
ファンタジー
「そなたとの婚約を、今この場で破棄する!」
王妃陛下主催の夜会の会場にて、王子は婚約してわずか3ヶ月の婚約者に婚約破棄を通告した。
理由は『婚約者たる王子に対して無視を続け愚弄した』こと。
それに対して婚約者である公爵家令嬢は冷静に反論するも、王子にその『言葉』は全く届かない。
それもそのはず。令嬢は王子の思いもよらぬ方法で語りかけ続けていたのだから⸺。
◆例によって思いつきでサクッと書いたため詳細な設定はありません。主人公以外の固有名詞も出ません。
比較的ありがちなすれ違いの物語。ただし、ちょっと他作品では見ない切り口の作品になっています。
◆仕様上選択しなくてはならないし女性主人公なので「女性向け」としていますが、本来は性別問わず広く問われるべき問題です。男女問わず読んで頂き向き合って下さればと思います。
◆話の都合上、差別的な表現がありR15指定しております。人によってはかなり不快に感じるかと思いますので、ご注意願います。
なお作者およびこの作品には差別を助長する意図はございませんし、それを容認するつもりもありません。
◆無知と無理解がゆえにやらかしてしまう事は、比較的誰にでも起こり得る事だと思います。他人事ではなく、私(作者)も皆さん(読者)も気をつけましょうね、という教訓めいたお話です。
とはいえ押し付ける気はありません。あくまでも個々人がどう考えどう動くか、それ次第でしかないと思います。
◆なろう版で指摘頂いたので恋愛ジャンルからファンタジージャンルに変更します。恋愛ものと思って読んで下さった皆さまごめんなさい。
◆この話も例によって小説家になろうでも公開致します。あちらは短編で一気読み。
◆なろう版にて多くの感想を頂いています。
その中で「声が出せない以外は健康で優秀」という設定に違和感があるとご指摘を頂きました。確かに障碍というものは単独で発現するものではないですし、そのあたり作品化するにあたって調べが足りていなかった作者の無知によるものです。
ですので大変申し訳ありませんが、現実世界ではない「魔術もある異世界」の話ということで、ひとつご容赦願えればと思います。誠に申し訳ありません。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる