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第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。

3.企みに巻き込まれそう?そんなときは。

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わたしの腹心の部下。
キャスリーヌ・ベイモン。
ベイモン男爵家。
第3子。長女。
わたしと同い年。12歳。

わたしと同じように、茶色の髪と瞳で、わたしより少し背が高く、細身。

わたしの腹心の部下は、もう1人いる。彼女は、わたし達の1つ年下。来年、別の学校に入学する予定。

さあ、お客様の人となりを教えて。

お客様の兄が先に口を開いた。
「まず、私から。アレックス・オッドアです。オッドア伯爵家の次男です。ニンデリー王国の王立学園の卒業生です。」

続けて妹。
「バネッサ・オッドアです。オッドア伯爵家の第3子、長女です。」

妹は緊張しているけれど、何か隠し事でも?

「ありがとうございます。わたしは、ニンデリー王国の王立学園の教授陣が魅力的だったので、進学先に決めました。」

わたしはにっこり笑って、兄妹を見る。
話す気があるなら、今のうちに話しなさい。

「ご兄妹でニンデリー王国の王立学園を進学先に選ばれたのは、お兄様の学生生活が好印象だったからですか?」

「それについては、お話しておくことがあります。」
と兄のアレックス。

兄は、企みを隠す気はないようね。

「私は、ニンデリー王国の王太子殿下と同級生で、卒業してからも、交流があります。」
と兄のアレックス。

わたしもキャスリーヌも、ふーん、と聞いている。

王太子殿下と仲良しなんて凄いですね、というおべっかは必要ないわね。

企みを白状させるのに、余計な時間をかけたくない。

自慢がしたいだけなら、相手を間違えているから、相手を選びなおすように助言するけど、まだ語り始めだし。

「そうですか。」
わたしは、ニンデリー王国の王太子に興味がない。
話の流れで必要なら聞いておくと、態度で見せた。

兄のアレックスは、わたしとキャスリーヌの反応が予想外だったのか、一瞬、身じろぎしたが立て直した。

「バネッサの進学は、王太子の依頼によるものです。」

兄のアレックスの言葉に妹のバネッサが反応して、誇らしげに顔を上げている。

バネッサは素直な性格なのか。

兄のアレックスは、いちいち、言葉を切って、わたしとキャスリーヌの反応を見てくる。

わたしは、ニンデリー王国の王太子に関わる気はない。

教授や講師として学校にいないなら、会うこともない卒業生なんて、他人だと思う。

「続けてください。」

わたしとキャスリーヌが無反応なことに、兄妹は、感情がついていかないようだ。

わたしとキャスリーヌの反応が予期したものと違いすぎて、不愉快になり始めている。

年端のいかない無知な少女からの賞賛や敬意を期待したのだろうか?

賞賛すべき箇所も敬意を表す場面も今のところ、見当たらないのだから、諦めなさい。

わたしとキャスリーヌは平然としている。

兄のアレックスは、話を続けることにしたようだ。

グダグダするなら、お引き取り願っても良かったのだけど。

「王太子殿下には同母の姉である第1王女と、異母弟、異母妹がいます。王太子殿下と第1王女の卒業後、異母弟だけが在籍している期間がありましたが、今年は異母妹も入学することになりました。」

いちいち、間を開けて、わたしとキャスリーヌの反応待ちをするアレックス。
反応すべきポイントがないので、用件を手短に言ってもらいたい。

「それで。」

わたしとキャスリーヌが、話の続きを聞く姿勢をしているうちに話し終わるだろうか。

「オッドア伯爵家もガランと同じ国境の領地です。」
とアレックス。

突然、話題が変わった。
搦め手を考えている?

「どちらも国境ではありますが、同じではありません。」
というわたしの回答は、兄妹共にお気に召さない様子。

わたしも、グダグダやるのは気に入らないから、お互いさま。

「オッドア伯爵家の長女であるバネッサ様が、ニンデリー王国の王太子の依頼で、ニンデリー王国の王立学園に入学されるということですね。わたしとキャスリーヌとは目的が異なりますので、今後は没交渉でまいりましょう。」
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