フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1387.ユージュアルの婚約者。皇国とガラン、ベイモン、ノアとの婚約の顔見せは、皇国側の負け。

ガラン、ベイモン、ノア側は誰も、ガラン家4男フィリスの発言に驚かない。

ああ、そうだな、そうしよう。

と、ガラン、ベイモン、ノアの全員が、皇国側を追い出す気満々で動き出した。

皇国とガラン、ベイモン、ノアの顔合わせは、ガラン領内で行われていた。

皇国側は、顔合わせと婚約成立を果たしたら、すぐに皇国へと帰る予定だった。

皇国側は、婚約ごときにかける時間が惜しいと考えていた。

他にも仕事はたくさんある。

顔合わせと婚約の成立なんて、皇国側が訪問した時点で終わっている。

婚約成立のための手順にそうだけだから、とんぼ返りで十分。

やることやって、さっさと帰国する。

そんな腹づもりで来ていた皇国側は、土壇場で拒否されることを想定していなかった。

ガラン、ベイモン、ノアから国へ帰れと言われても、皇帝の密命がある以上、婚約成立しないと、皇国側は帰れない。

だけど、ガランには、ガラン領に皇国側の人員を1人も滞在させる気がなかった。

帰国を渋る皇国側に、サブリーの家ベイモン家が治めているベイモン領へ移動するように、と告げてきた。

『フィリスに会えないなら、私は生きていけない。』
とガラン家4男フィリスへ、婚約不成立は嫌だという主張する皇弟。

皇国側に、空気を読まない皇弟を持て余す雰囲気が漂う中。

『ボクと会えなくなるのが嫌だと思われていたのなら、ガラン、ベイモン、ノアとボク達6人への不敬を働く者を放置するべきではございませんでした。

皇弟でいらっしゃりながら、部下の行動を諌めて、ボク達へ許しを請い、部下を戒めることさえなさらない方とその部下。

ガラン、ベイモン、ノアにも、ボク自身にも、繫がりを持つ利がございません。』
とガラン家4男フィリス。

『そういうことだから、帰らないなら、皇国側は全員ベイモン領に移動。』
とベイモン家嫡男。

当代ガラン家当主唯一の姫ではなく、4男の一声が決定打になるとか、ふざけ過ぎている。

皇弟に気に入られたからと皇弟を振り回していいと思っているのか。

家を継がない4男ごときが。

生意気過ぎるだろう。

そういう声が皇国側から上がると。

『婚約しないで帰国してもガラン、ベイモン、ノアは困らない。』
とノア家嫡男。

『今よりもまともに会話できる状態になっていなければ、会うことはしない。』
とガラン家嫡男デヒル。

初回の顔合わせは、散々な結果を突きつけられて終わった。

皇家と皇家に繋がる家が、外国の貴族と結婚する場合は、手順を作り、制度化するように、と皇国に伝えたのは。

皇国の婚約問題に立ち会いを求められるなどで煩わされた、当時のガラン家当主であることを、ユージュアルの婚約者をはじめとする皇国側は知らなかった。