フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1380.ユージュアルの婚約者。婚約者同士の顔合わせ現場は、皇国史上で初となるかもしれない歓迎されていない現場だった。

ガラン家の姫マーゴットと皇弟殿下の婚約をご成婚までこぎつけるには、皇弟殿下の側近2人の頑張りだけでは無理だ。

サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者は、顔合わせが始まるやいなや、難易度の高さを理解した。

成人するまで皇弟殿下と親しくしてこなかった自分達が、わざわざ、側近として抜擢されたのは、あえての理由があるのだろうとは思っていた。

顔合わせで理解した。

ガランの姫マーゴットとその兄フィリス。

ベイモンの娘とその兄サブリー。

ノアの娘とユージュアル。

全員が、濃淡の差はあるが、茶色い髪と瞳をしている。

細身で小柄で、派手さは全くない。

よく見れば、整っていることに気づく。

ガラン、ベイモン、ノアが揃って顔合わせだから、差に気づくが。

顔を知らない状態で、集団に混ざっていたら、見つけられないかもしれない。

ガラン、ベイモン、ノア。

全て、兄と妹の組み合わせだが、全員、主張しない容姿をしている。

大人しそうな見た目で、地味な風貌。

サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者は、男でも女でも、交際範囲が広く、誰とでもそれなりにうまくやれそうな面を買われたに違いない。

サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者に強く危機感を抱かせたのは、皇弟殿下だった。

皇弟は、皇帝陛下から言い聞かせられているはずだが、本命のマーゴット姫ではなく、スペアである4男のフィリスに吸い寄せられている。

皇弟がスペアであるフィリスを乞うていたのは聞いていたが、見ると聞くとでは大違いだった。

皇帝陛下とガラン家当主は、顔合わせ段階では顔を出さないのは、正解だと2人は思った。

ガラン家の嫡男デヒルが、ガラン側を代表しているが、弟妹をこれでもかと可愛がって、皇弟を牽制している。

皇弟殿下と同い年であるガラン家の嫡男デヒル、ベイモン家の嫡男、ノア家の嫡男が当主代理として、顔合わせに立ち会っていた。

ガランの右と左、ベイモン家とノア家は、ガランの姫マーゴットの婚約にあわせているから、ガランに右にならえ。

皇弟とマーゴットが15歳差。

サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者は、皇弟よりも年上だ。

政略結婚とはいえ、本命とは15歳以上の開きがある。

スペアの兄と本命の妹との年齢差も、さして大きくない。

顔合わせをしてみれば、サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者がいたたまれなくなるくらいに、皇国が皇弟可愛さにゴリ押ししたのが伝わってくる現場が整っていた。

ガランは先代当主が襲撃で亡くなられて以来、当代当主はあちこち飛び回っているらしい。

ガラン家の当主代理のガラン家嫡男デヒルは、サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者よりも年下だったが、この場にいる誰よりも修羅場の場数を踏んでいる様子がうかがえた。

サブリーの婚約者とユージュアルの婚約者は、皇国の皇家に近い貴族との婚約が歓迎されない話など聞いたことがなかったが。

自分達の婚約は、皇国史上、初の歓迎されない婚約になるかもしれないことを感じ取った。