フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1339.怨霊と傘妖怪は、飛んでくる呪術を施された剣に、あっち行け、と追い払おうとしたの。すると、剣は？

「怨霊、大丈夫なの。飛んでくる剣には、あっち行けするの。」

「あっち行け、とやったら、剣はあっち行く？」
と怨霊。

「やってみないとなの。」

「あっち行け、あっち行け。」
と怨霊。

「あっち、あっち。」
と傘妖怪。

怨霊と傘妖怪は、ボクと繋いでいない方の手で、追い払う仕草をしたの。

「総司令。剣があっちに行かない！」
と怨霊。

呪術を施された剣は、勢いを増して飛んでくるの。

ボクは、なるほど、と思ったの。

剣に施された呪術は、怨霊に反応したの。

呪術の狙いは、怨霊なの。

ということは、なの。

剣に呪術を施した者は、怨霊が騎士学校内にいることを承知しているの。

剣に呪術を施した呪術者は、怨霊を騎士学校に送り込んだ者、もしくは、その事実を知り得た者なの。

呪術を施した剣は、騎士学校の学生が使用するために一人一人に用意されていたの。

今のボク達の状況を準備して作った者がいるの。

その者の正体について、ボクは、まだ、何もつかめていないの。

ボクは、考えたの。

この状況を作り上げた者と、シノ教官にチューニング魔法を伝えた者が無関係とは思えないの。

チューニング魔法について、異世界転移者の怨霊は、原理を理解して、異世界転移者ではないボクに説明ができたの。

この状況を作り上げた者は、異世界転移者や異世界転生者を手足として使うことを重視しているのではないかしら？

異世界転生者も、異世界転移者も。

探す気で探せば、どの時代のどの国にもいるの。

人手に不自由しないの。

異世界転移者や異世界転生者の中には、うまくこの世界に適応できない者もいるの。

異世界での暮らしや常識に引きずられて、この世界に馴染めない者を見つけるのは、難しくないの。

周りと馴染めないでいるうちに、思考も言動も、その異質さが誤魔化せなくなってくるの。

この世界に適応できなかった者や、前世とは違うこの世界に不満を持つ者を、手足として集めたのかしら？

甘い言葉で誘って、居場所を用意したフリをして、悩みにつけこんで、夢と希望を与え、甘い言葉の数々を疑わせないようにしてから、従わせたのかしら。

シノ教官は、居場所を与えられて、思考を止めた典型とは言えないかしら。

異世界転生者の2人の女子学生のうちは、平民の女子学生は、シノ教官に心理的に近かった気がするの。

ナーレーン伯爵家の血をひく女子学生は、シノ教官とは違う気がするの。

騎士学校には、異世界転生者を使う2つの外部勢力が入り込んでいたのかしら？

異世界の技術は、異世界に詳しくないボク達には未知のもの。

異世界の技術が企みに使われた場合、発覚が遅れがちになるの。

それを利点として、異世界転生者を利用したのかしら？

異世界転生者の中には、異世界の知識や技術、思想をこの世界に持ち込むことの欠点を考えられない者もいるの。