フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1338.『総司令。呪術を施された剣が。』とダンシェル。

「いつまで転がっている、起きあがれ。」
男の1人は、片足に縄がついている2人の男を足で小突いたの。

2人の男は、それぞれ、起き上がろうとしているの。

サブリーとユージュアルは、小走りに飛び上がって、起きあがろうとした男2人に蹴りを入れたの。

レイモンドとロウウェルは、サブリーとユージュアルの側を離れて、明らかに武装している護衛に向けて剣を動かしたの。

「こんなところで、迫ってくるのか？

待てもできないとは。」
と下卑た笑い声をあげた男はすぐに静かになったの。

建物の出入り口は、何人もが同時に出入りできる広さはあったけれど。

男以外は、無事ではなくなっていたの。

サブリーとユージュアルに蹴り込まれた男2人は、目くらましなの。

サブリーとユージュアルは、それぞれ、手に長い串を手に持っていたの。

長い串は、サブリーとユージュアルがそれぞれ蹴り込んだ男2人の体を貫通した後、枝分かれしたの。

枝分かれした先には、男の連れてきた護衛が全員刺さっているの。

サブリーの分とユージュアルの分の2本が体を貫通して、体を固定している状態。

護衛は、立ったまま串刺しになっているから、護衛を従えている男は、逃げられないの。

レイモンドとロウウェルは、静かになった男を捕縛したの。

この時点で、レイモンドとロウウェルは、建物の外にいたの。

サブリーとユージュアルは、ギリギリ、建物の中。

ボクとダンシェル、怨霊と傘妖怪は、建物の中。

ガタン、ガタン、ガタガタガタ。

建物内で、金属が床を激しく叩く音がしたの。

「どこから？」

警戒するボクに。

「総司令。学生が使用していた呪術の施された剣が、学生の体の下で動いている。」
とダンシェル。

「ダンシェル、ボクを抱っこなの。走るの。」

ダンシェルは、ボクを抱きかかえて、走り出したの。

「ロウウェル、レイモンドは、建物に戻って来るな。できるだけ、建物内から離れろ。」
とユージュアル。

「俺達に何かあったら、拘束したやつを引きずって、近衛棟に連絡をとれ。

次にガランへ連絡をとり、ガラン王都邸へ飛び込め。」
とサブリー。

サブリーとユージュアルは、ロウウェルとレイモンドに、拘束した男と一緒に建物から離れるように指示したの。

ロウウェルとレイモンドは、グズグズする拘束した男を交互に蹴りながら、3人で建物から離れていくの。

ボクは、呪術を施された剣について考えたの。

呪術の施された剣は、持ち主だった学生が使えなくなってから、勝手に動き出しているの。

つまり、なの。

学生の使用中は、学生が持たされた剣に施された呪術は、効力を発揮しなかったの。

学生が剣を使わなくなって一定時間が経過すると、効力を発揮するようにあるのか。

はたまた。

所定の場所にないと、勝手に動き出すのか。

どういう呪術が施されたにしろ。

使い手不在で、剣だけが動くの場所にいるのは、危険なの。

「怨霊、傘妖怪。ボクの手を離してはいけないの。」

「うん。」
と怨霊は、心配そうに眉を下げたの。

「うん、うん。」
と傘妖怪。

サブリーとユージュアルは、建物の出入り口で、ボクとダンシェルを待っているの。

ガタン、ガタン、と煩かった剣は、急に静かになって。

ボク達に向かって飛んできたの。

「危ない！」
と怨霊は叫んだの。