フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1331.ぴょんぴょん飛び跳ねる死者の怪談について。噛み傷に当てるもち米がないときは、どうしたらいいのかしら？『え？童貞の？』

「シノ教官がジャンプする高さが、どんどん高くなって、1回のジャンプにかかる時間が段々短くなってきている、ということは。」
と怨霊は、唾を飲み込んだの。

「怨霊、続けるの。」

「時間経過とともに、シノ教官を上下に揺さぶる激しさが増していくということなんだ。」
と怨霊。

「シノ教官を揺さぶる激しさが増していくのは、シノ教官を揺さぶる誰かの苛立ちや焦りだと思う。」
と怨霊。

「どうしてかしら？」

「シノ教官を揺さぶる誰かは、シノ教官を激しく揺さぶることで、シノ教官の脳に損傷を与えることを狙っているんだと思う。」
と怨霊。

「シノ教官はどうなるのかしら？」

「シノ教官は、死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。

死ななかった場合でも、気絶前のシノ教官とは、人格やできることが変わってしまうかもしれない。

俺も詳しくは知らないんだけれど。」
と怨霊。

「意識を取り戻したシノ教官に、気絶前のような聞き取りをするのは困難になる？」
とダンシェル。

「急に怒り出したりして、会話に困るようになるかも。」
と怨霊。

ボクは、怨霊があえて考えなかったことを考えたの。

そちらの方が、しっくりくるのだもの。

「怨霊。

怨霊の住んでいた世界の怪談で、ぴょんぴょん飛び跳ねる死者を操る話があった、という話について、詳しく聞きたいの、ボク。」

「キョンシーについて？」
と怨霊。

「異世界での名前はしらないのだけど、キョンシーというのが、怪談に出てくるのかしら？」

「死者が動く怪談は、ゾンビや吸血鬼もなんだけど、ゾンビは、ぴょんぴょん飛び跳ねたりしない。

ゾンビは、生き物を襲って食べる。

ゾンビに襲われたら、襲われた方がゾンビになるか、までは覚えていないけれど。

吸血鬼は、生きている人の血を吸って、生きている人を吸血鬼に変えてしまうんだ。」
と怨霊。

「キョンシーは、どうかしら？」

「キョンシーは、噛みつかれた人をキョンシーに変える。

キョンシーに殺された人もキョンシーになる。

噛みつかれた人の場合、もち米を噛み傷に当てると、噛み傷から毒素が抜けて、キョンシーから人に戻ると聞いたことがある。」
と怨霊。

「ボク、もち米は、持ち歩いていないの。」

「噛み傷に、童貞の尿をかけても、効果はあるらしい。」
と怨霊。

童貞の尿。

調達は、可能だけども。

万が一のときは、ボク、サブリー、ユージュアルの3人が、ここでナニを取り出して、誰かにかけることになるのかしら？

「ボク、キョンシーの犠牲者は出さないことを希望するの。」

「総司令。キョンシーは、怪談だから。」
と怨霊。