フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1314.シノ教官は、ボクに話しかけられることを拒否。ユージュアルは、シノ教官に、ゆるっと質問を始めたの。

ボクは、シノ教官に現実を教えることにしたの。

「キミが知る、国王陛下の側近になった一代貴族についての情報は、正しくないの。

シノ教官。キミは、騙されたの。

キミに正しくない情報を吹き込んだのは、どこの誰かしら？」

「フィリス・ガラン。
お前は、私にも媚を売る気か！
お前には、男にすり寄る才能があると私は知っている！
私に話しかけるな！」
とシノ教官。

ボク、男にすり寄る才能なんて、あったかしら？

「国王陛下の相談役となった一代貴族とシノ教官は、どこで出会ったんだ？」
とユージュアル。

「あの方は、古くからあるものの没落した貴族の家に生まれ、そのお人柄で、国王の信用を勝ち取り、一代貴族になられた。」
とシノ教官。

シノ教官は、国王の相談役となった一代貴族との出会いや関係についてではなく、紹介文を話したの。

シノ教官のお喋りは、ユージュアルの質問の答えではないの。

ユージュアルは、落ち着いて話を続けたの。

「そうかあ。
シノ教官は、あの方に会ったことがないのかあ。

貴族と平民が出会う場所なんて、ないからなあ。

シノ教官が、勝手に憧れを持っていただけのあの方の噂話かあ。

シノ教官は、憧れていた人の嘘の噂話を鵜呑みにして、騙されたのかあ。

自分で、噂話が正しいか正しくないかを調べるなんて、シノ教官には、どだい、無理な話だもんなあ。

シノ教官に、貴族の伝手なんてないもんなあ。」
とユージュアル。

ユージュアルは、踏み込みながら、話を続けたの。

「あの方は、この世界に絶望していた全ての人の希望を背負われていた。」
とシノ教官。

「この世界に絶望していた人かあ。

何人いたのかなあ？

その全ての人の希望となると、一人で叶えられるのかあ？」
とユージュアル。

ユージュアルが手にしているのは、剣ではなく布。

シノ教官は、剣を持つロウウェルほど、ユージュアルを警戒していないの。

「叶えられるかどうか、ではなく、叶えようとされていた。」
とシノ教官。

やります、と言って、人を集めて、できませんでした、と解散するのは、詐欺によくあるのではないかしら？

「シノ教官の言う、全ての人って、例えば、どんなことを叶えてほしいと願う人だ？」
とユージュアル。

「全ては、全てだ。」
とシノ教官。

「シノ教官の願いは、貴族をなくしたいんだったよなあ？

正反対の願いを持つ人は、いなかったのかなあ？

シノ教官の言うあの方って、貴族だよなあ。

貴族をなくしたら、あの方も貴族でなくなるよなあ？

貴族のあの方が、貴族をなくしたがるのかあ？」
とユージュアルは、懐疑的。