フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1311.サブリーとレイモンドは、教職員と対戦中。ロウウェルは、シノ教官と対峙しているの。『シノ教官は俺が怖いんだろう？』とロウウェル。

ボクは、サブリーとレイモンドに、教職員の元へ戻るように指示したの。

「サブリー、レイモンド。

教職員は、全員、斬り捨てて構わないの。

教職員が攻撃してきても、してこなくても、不問とするの。

ボク達が、無傷で生きて帰ることが最優先なの。」

サブリーとレイモンドに指示を出したボクは、シノ教官の振り返ったの。

学生を楯にしているシノ教官は、見失った標的を再び見つけて、剣を構えた教職員を見て、満足そうに笑っているの。

サブリーとレイモンドは、剣を構えた教職員に躊躇なく飛び込んでいく。

箱をかぶっていない教職員の一人に、騎士学校の校長がいたの。

建物に入るまでは、ボクと会話が成立していた校長は、的確に急所を狙う攻撃を繰り出しているの。

レイモンドは、サブリーの腰に回していた手を外したの。

レイモンドは、攻撃を剣でいなしながら、教職員の様子を観察したの。

サブリーは、レイモンドが観察終了の合図をすると同時に切り捨てていく。

レイモンドとの戦いの中で、教職員が正常化することはなかったの。

ボクの胸は、シクシクしているの。

総司令のボクは、ボクの部下が戦いで傷つかないように采配するの。

暗示をかけられているか、操られているかしている教職員に指示を出している者は、教職員がボク達近衛に剣を向けた結果、どういう結末になるかを考えたかしら？

ボク達近衛に剣を向けた教職員がどんな未来に向かうことになるのか、なんて。

コーハ王国に生まれて生きてきたら、理解しているはずなの。

コーハ王国は、歴然たる階級社会。

上の階級に歯向かう行為は、許されないの。

下克上などあり得ないの。

下克上を唱えて、騎士学校の学生を扇動したシノ教官は、学生を洗脳して、学生自身が、シノ教官の肉の壁になるように動かし、自らの安全を確保しているの。

魔法を使わないで剣だけで立ち回っているロウウェルは、ユージュアルの腰に回していた腕を離したの。

シノ教官とロウウェルの間には、もう誰も立っていないの。

「大人しく、お縄についとけ。」
とロウウェルは、剣を突きつけたの。

「そう言われて、誰が捕まるものか。」
とシノ教官は、ロウウェルの剣を凝視しているの。

「シノ教官は、俺が怖いんだろ？」
とロウウェル。

「何を言っているのか、さっぱり。」
とシノ教官は、ロウウェルの剣を凝視したまま。

「正直に言ってみろ。

ためらいなく、人に刃をつきつけて、そのまま切り捨てる俺が怖いだろう？」
とロウウェル。

「お前は、強いかもしれないが、人として異常だ！
当たり前のように人を殺すな！
お前達に、人の心はないのか！
学生は、お前達を殺そうとしなかったじゃないか！
学生を殺す必要はなかった！
強さを自覚しているなら、余裕があるはず。
学生は殺されることなど想定していなかった。」
とシノ教官は、剣を凝視したまま早口で主張したの。

「俺達に敵意を抱き、武器を突きつけるという行動に出た学生が死なないと思った、だ？

騎士になろうとしている平民の学生が、貴族子弟に攻撃したのにか？」
とロウウェル。