フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1302.『キミ達学生は大罪人なの。覚悟するの。』『総司令を恨むな。』と怨霊。『どうして?』怨霊が悲嘆にくれる原因をボクは知っているの。

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「国家転覆は、大罪なの。
キミ達学生は、全員、大罪人なの。極刑なの。
今すぐに命を失う覚悟するといいの。」

「今のフィリス・ガランの脅しを聞いただろう?

貴族だけあって、人を脅すのはお茶の子さいさい。」
とシノ教官は、学生に語るの。

シノ教官の語りを聞いた学生は、ボクの警告を鼻で笑ったの。

「は?口だけだろ?」

「殺すなんて、大げさだ。」

「逃げて隠れているだけのやつに何ができる?」

「殺せるもんなら、やってみろ!」

ボクは、怨霊と傘妖怪と握っている手に力を込めたの。

「怨霊。傘妖怪。

キミの学生達に、伝える言葉があれば、今言うといいの。

助けたいとは、願うのも言うもダメなの。

怨霊が、助けようとすると、ボクは怨霊を祓わないといけなくなるもの。」

「分かった。今からでも、伝わる?」
と聞いてくる怨霊は、鼻声なの。

「怨霊が見守っていた気持ちが伝わればいい、と、ボクは思うの。」

ボクは、怨霊の心が優しいものだと知っているの。

「俺、皆が騎士になるために頑張っている姿を応援していた。

皆が騎士になりたいと思い描くように、俺も皆が騎士になることを楽しみにしていた。

こんな別れ方になるなんて想像したこともなかった。

もっと早くに気づいてやりたかった。

引き返して、やり直しができる時期に気づいていたら、シノ教官を止めていたけど。

今、俺にできることは、考えても思いつかない。

騎士学校から出られない俺は、水先案内人にもなれない。

俺と騎士学校にいて、地縛霊になるのは、ダメだと思う。

死んじゃっている俺は、生きた人みたいに冥福を祈ることもできない。

俺にできる唯一は、真実を届けることだと思う。

学生が恨む相手は、総司令じゃなくてシノ教官。

今から、何が起きても、恨む相手を間違えたら、ダメだ。」
と怨霊。

ボクは、怨霊の声に魔力を乗せて流したの。

ボクが、怨霊の声をボクの魔力に乗せて流した後。

学生と教職員が、全員ざわざわしたの。

シノ教官以外の教職員は、ずっと、疲れ切ったように動かないの。

校長も。

校長以外も。

誰一人、シノ教官や学生を止めようとしないの。

何かまだ、仕掛けがあるのかしら?

「怨霊の声は、届いたの。」

ボクは、悲痛な面持ちの怨霊に声をかけたの。

「うん。」
と怨霊。

「うん、うん。」
と傘妖怪。

「俺は、異世界に来たんだ。
俺がいるのは、異世界なんだ。
俺は、人じゃないんだ。

なんでなんだろう。

何もかもが、悲しい方へ、悲しい方へ変わっていく。

なんで、こんなことになったんだろう。」
と怨霊は、鼻声のまま呟いたの。

ボクは、怨霊の嘆きの答えを知っているの。

ボクが、怨霊と手を繋いでいる理由がそれだもの。

怨霊は、騎士学校に磁場を作ったの。

怨霊は、負のかたまり。

騎士学校は、負の磁場が広がっているの。

だから、なの。

怨霊の心は、優しいけれど、怨霊の力は、怨霊の心を反映したものではないの。
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