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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

1296.騎士学校の現状を後押しした力。

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「騙されるな。
今喋っているそいつは、フィリス・ガランだ。

この国の要人を手玉にとって、今の地位に上り詰めた男だ。

国の要人ではない学生のお前達を丸め込むなど、フィリス・ガランには容易い。

何しろ、男好きのガランでも随一の男好きと定評がある男だ。

地味で無害そうなナリで、男を誑かして自分を守る。

血の繋がっている実の兄も、フィリス・ガランは、言いなりにしている。」

ボクを悪しざまに言ったのは、学生ではなかったの。

「実の兄まで?
どこに夢中になる要素が?」

「こんな、地味なのに?」

「1人だけ、地味だからとか?」

「カッコいい兄が、地味な弟を猫可愛がり?」

「兄が気持ち悪い。」

「兄も弟も気持ち悪いよ。」

学生は、ボクを悪しざまに言う者の言葉を疑わないの。

学生は、ボクを悪しざまに言う言葉をそのまま受け入れて、その者の言葉を聞いて感じた素直な感想を、次々に口にしていくの。

まるで、条件反射なの。

ボクを悪しざまに言う台詞に、すらすらと同調して上乗せしていく学生の姿を見ている怨霊は、傷ついているの。

「子どもに悪口を刷り込んで意のままに操るなんて、やったらいけない。」
と怨霊は、絞り出すように声を出したの。

怨霊。
洗脳とは、洗脳されている本人には分からないものなの。

洗脳されている間は、それが正しくて、他は正しくないと考えてしまうの。

子どもに近づけてはいけない人物が、騎士学校にはいるの。

「今喋った学生は、考えながら話しているようには、見えないなあ。」
とユージュアル。

「さっきまで学生が使っていた戦えない剣術は、体が型を覚えている風だった。

何度も、同じ動作を繰り返して、覚えたんじゃないかな。」
とレイモンド。

「同じ動きで統一されていて、学生間に、個人差を作らないようにしていた。

突出して出来がいいも悪いもない。

総じて、全員の出来が悪い。」
とダンシェル。

「腕の振り上げる角度、足の開き方。
似ているんじゃなく、誰かに似せようとしている。

学生には手本となる人物がいて、その人物の動作を学生は写すようにイメージして動いている。」
とロウウェル。

「実戦に向いていないのは、敵を想定していないだけではなく、イメージする人物の動作を想像して真似するだけだからかあ。」
とユージュアル。

「学生全員で、同じ型を一度に覚えた感じ?」
とサブリー。

「全員が型通りに動くことを目標に掲げて、全員の目標を達成したことに満足して成長を止めたのかしら。」

ボクと手を繋いでいる怨霊と傘妖怪から、ひたすら悲しみの感情が伝わってくるの。

「面倒見が良い教官だと思って、学生に教える光景をいつも微笑ましく見ていたんだ。」
と怨霊。

「あの者は、学生に心底慕われていたのかしら?」

「うん。俺は、応援していたんだ。

こんなに、いびつになっているとは思わなかった。」
と怨霊。

ボクは、現状に納得したの。

騎士学校に場を作っている怨霊が、応援しているということは、常に、あの者が何をしようとも、あの者に対しては追い風が吹いていた、ということなの。
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