フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1272.ボクは、ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生の見解について、貴族視点からの正解を教えたの。

ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生アニタが、騎士学校を引っ掻き回した動機は、本人が自白したの。

捨て身の作戦なの。

ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生アニタ本人に、生き残りたい気持ちがないから、できたの。

ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生アニタは、思っていたことを全部さらけ出して、もう何も隠すことがない、という表情で肩の力を抜いているの。

「生まれた場所が気に入らないから、と、気に入らないものを全部壊して、その後、キミはどうするつもりだったのかしら？」

「さあ？
どう転んでも、今と大差がない毎日で、騎士になることはなくなったから、まだマシね。
戦闘職とか、絶対に無理。」
とナーレーン伯爵家の血を引く女子学生は、さくさくと口を割ったの。

ボク、ナーレーン伯爵家が、騎士になりたくない、適性もないような女子学生を騎士学校に通わせた理由がなんとなく分かってきたの。

まず、平民の文官登用を目指す、文官育成の教育機関ではなく、騎士学校を入学先に指定したのは、ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生の母の素行を警戒したからじゃないかしら。

文官は、王城に出入りするもの。

ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生が、王城に出入りする文官になれば、女子学生の母が、娘を通じて、王城の文官に失礼を働かないか警戒してのことだと思うの。

「貴族のボクから見て、ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生アニタの見解は、貴族的視点では、正しくないから訂正するの。

ナーレーン伯爵家の使用人が、ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生に、『母のようにならないように』と一生懸命、刷り込んでいるのは、母と同じ過ちをおかすことがないように、と案じてのことなの。

ナーレーン伯爵家の血を引く女子学生の母が、殺されかけたけど、殺せなかったなら、母子ともに、存在そのものを隠してしまえばいいもの。

存在を隠さずに、陽のあたる場所で生かし、騎士学校に通わせるなど、お金をかけて育てたのなら、それはナーレーン伯爵家の血を引く娘として、アニタを見捨てていないということになるの。

いらない娘なら、お金などかけないの。

そもそも、ナーレーン伯爵家の血を引く娘だと、本人に知らせないの。

名前を使わせもしないの。」

「え？」
とナーレーン伯爵家の血を引く女子学生。

「キミのまわりに集まった男子学生が、キミの伯爵令嬢ごっこに付き合ったのは、キミがナーレーン伯爵家に認められていることが明らかだったからなの。」

「そんなわけ。」
とナーレーン伯爵家の血を引く女子学生。

「どうして、キミが、キミを育ててきてくれた人達の感情を取り違えたのか、ボクは不思議なの。

生粋の平民の女子学生にいいように言わせているのも不思議なの。

キミ、元は、平民の女子学生と同じ魂を分けたというのは、どういう意味かしら？

生粋の平民の女子学生とキミは、どんな繋がりがあるのかしら？」