フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1240.ボク、異世界転移してきた、怨霊と話をするの。怨霊は、この世界に来たとき、若返って異世界転移した、と喜んでいたけれど？

怨霊の磁場となっている騎士学校の中。

ボク達、近衛別働隊の６人は、ボクの神気が怨霊の霊気を弾いているから、最初から影響を受けていないの。

怨霊がボクの前に姿を現した理由は、簡単なの。

怨霊は、ボクに狙いをつけて取り込もうとしたの。

怨霊がピンポイントで騎士学校に異世界転移するなんて。

騎士学校では、まだまだ、問題が起きそうなの。

まず、怨霊を素直にさせようかしら？

「そもそも、キミは、殺された子どもの体に乗り移った、大人なの。子ども本人じゃないの」

「ちっ。怯えもしない。生意気なやつめ。」
と怨霊。

「珍しくないもの。」

「は？」
と怨霊。

「珍しくないからなあ。」
とユージュアルは、温いスープを給仕されたような顔をしているの。

ボクとサブリーとユージュアルは、転移の魔法陣で、古戦場に投げ込まれたときに、大量の御魂を見たもの。

「キミが、この場所に来たのは、理由があるのかしら？」

ボクが、全然、怖がらない上に、ユージュアルがのんびりと合いの手を入れているのを見た怨霊は、悔しがったの。

「なんなんだー！」
と怨霊。

「キミは、この場所を自分で選んできたのかしら？」

「そんなわけ、あるかー！
別の場所に出かかったら、
ここへ引き寄せられたんだ。

掃除機で吸われるみたいに。」
と怨霊。

掃除機は、知らないけれど。

異世界転移者の出現先を、何者かが騎士学校に固定したのかしら。

ボクは、ある可能性に気づいたの。

「キミ、この場所を気に入って、居座っているわけではなく、この場所から出入りできないのかしら？」

「そうだ、文句あるか？
俺だって、外に出られるものなら、出ていきたかった。

せっかくの異世界。

冒険が始まると期待したさ。

騎士学校なんて、お誂え向きな場所だから、俺自身が戦えなくても、戦えるやつに寄生して生きていけば、楽勝だと。」
と怨霊。

怨霊は、取り憑きたいのが、本能なのかしら。

「出られないんだ。

俺と傘妖怪だけは、この敷地から出られない。

何度も試したけれど、見えない壁に跳ね返される。」
と怨霊は、ブルブル震えたの。

「軟禁されているんじゃないか、と最初は思った。

俺が、貴重な能力がある異世界転生者だから、捕まっているんじゃないか、と。

自分が死んだことは、分かっていた。

子どもの体が手に入った状態で、異世界に来たら、若返って異世界転移したんだと思うに決まっているだろう？」
と怨霊。

「そういうものかしら？」

「そういうものなんだよ！」
と怨霊。

「自分自身が、人ではないといつ気づいたのかしら？」

「あるとき、俺は、異世界に来て、それなりに時間が経っているのに、食事も排泄もしていない、と気づいたんだ。

信じられなくて、絶望して、ぼんやりしていたら、こうなっていた。」
と怨霊。

人間ではない、と気づいて絶望したときに、怨霊化したなら。

人外として、この世界に出現したのは、自然の摂理。

騎士学校に出現したのは、何者かの思惑と工作なの。

怨霊化するところまで、含めて。

他にも、何か仕組まれているかしら？