フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1227.異世界転生者が、異世界の品をこの世界で再現したときに起きる問題が、後ろに隠れていた男女の学生にも起きたの。先駆者問題なの。

後ろに隠れていた男女の学生は、ボクを馬鹿にする態度を一変させたの。

「止めろ、フィリスのくせに、生意気で腹が立つ。

俺達の真似して言い返そうなんて、百年早い。」
と後ろに隠れていた男子学生。

「殺された人間の苦しみも痛みも無念も憎しみも知らないくせに、偉そうな口ばかり。」
と後ろに隠れていた女子学生。

ボクは、殺されていないけども。

殺される者の苦しみも生かされる者の苦しみも、知っているの。

どちらも、ボクの人生に欠かせないものだもの。

後ろに隠れていた男女の学生の言い分は、笑止千万なの。

ボクは、微笑みながら、後ろに隠れていた男女の学生に尋ねるの。

「キミ達、この世界で再転生してコーハ王国に生まれた後、ホーマリーに復讐しようと決めたのなら、今まで、何をしてきたのかしら？

異世界転生者のハイゾの人生にぶら下がってきただけかしら？

復讐なんて、口先だけじゃないのかしら？

キミ達より恵まれているように見える相手に寄生して、好き勝手したいだけじゃないのかしら？

ホーマリーのヒーローだったキミ達の前世の人格がそのまま、今を生きているなら、今の生で、研究したり発明することをしなかったのは、なぜかしら？」

ハイゾが、キミ達以外の異世界転生者の存在が、キミ達の寄生先になったのは、利用価値があるからかしら？

キミ達は、キミ達以外の異世界転生者に会ったときに、何を思ったのかしら？

救いを感じたのかしら？

焦りかしら？

妬みかしら？

憎悪かしら？

後ろに隠れていた男女の学生は、歯ぎしりしているの。

「この国には、ハイゾさんがいた。

俺達は、何をしても、ハイゾさんの下位互換になる。

俺達の方が、侯爵家のハイゾさんより後に生まれた。

ハイゾさんは、本家で、俺達は、分家。

この国は、身分制度があって、俺達は、ハイゾさんより上にいけないと、生まれながらに決まっていた。」
と後ろに隠れていた男子学生。

ボク、後ろに隠れていた男女の学生が、ハイゾに対して、好意的ではないと感じていたの。

異世界転生者の自我に。

ホーマリーという平民国家で生きていた前世の経験が加わった結果。

コーハ王国の厳格な階級社会を受け入れたくなかったのかしら。

コーハ王国で貴族の分家に生まれたなら、階級社会に適応しないと、今世でも居場所がなくなる、ということに気づかないまま、今まで生きてきた、ということかしら。

「私達の発明も研究も、全て。

ハイゾさんに憧れた分家の子どもが、ハイゾさんの真似をして、ハイゾさんの発明には、とうてい及ばないコピー製品を作っているとみなされた。

全然違うのに。

ハイゾさんを知らない、ハイゾさんの発明も知らない、と弁明しても、誰もまともにとりあわない。

私達の親や使用人でさえも。

私達のオリジナルだと、信じてくれた人は、いなかった。

オリジナルだと信じ合えたのは、今世でも、出会えたもう1人のヒーローだけ。」
と後ろに隠れていた女子学生が、後ろに隠れていた男子学生に向ける視線は、力強くて、けんがないの。

後ろに隠れていた男女の学生は、お互いが唯一の理解者だからと、他人を寄せ付けなくなり、今世では、前世以上に孤立したのかしら。