フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1226.ボクのお祖父様の死因を自業自得だという、後ろに隠れていた男女の学生。2人の前世の死因を推測して伝えるの。キミ達は、自業自得なの。

ボクは、衝撃を受けても気絶したりしないの。

敵の前で、意識を失うのは、危険なの。

後ろに隠れていた男女の学生の話を聞いているハイゾは、今のところ、大人しくしているけれど、ボクが気絶したら、ボクを誘拐する可能性があるもの。

ボクは、ガラン家当主の息子であり、近衛別働隊の総司令。

身内以外がいる場所では、カッコよくキメて、偉い人だと示すの。

威厳を示すの。

「ボクのお祖父様が、【神々の子ども達】の非武装中立地帯にいたことを悪いことだと、キミ達は言うけれど。

【神々の子ども達】について、何も学ばないままに、近づいて、失敗した後も、学ぼうとしなかったキミ達は、悪くないとでもいうのかしら。

悪くなかったというなら、愚かだったと言い換えるの。

キミ達が、前世でホーマリーから消された理由なら、推測できるもの、ボク。」

ボクは、微笑む。

「理由が分かるから、フィリスは馬鹿じゃない？

死んだ理由を殺された後に聞いたところで、俺達が殺された過去は変わらない。

殺された瞬間は覚えていなくても。

殺されて存在をなかったことにされた事実を知ったときから、俺達のホーマリーへの思いは、恨みと憎しみしかない。」
と後ろに隠れていた男子学生。

「異世界転生者としてこの世界に生まれたことを自覚した時点で、この世界の常識を謙虚に学んで習得しなかったキミ達は、この世界に生きる場所を自らなくしたの。

この世界で生きることを拒絶したのは、キミ達なの。

キミ達は、異世界転生する前の生での幻想をこの世界に持ち込んで、この世界における現実を見なかったの。

自分は、どこの誰か。

キミ達のアイデンティティは、異世界転生する前の生に置き去りにしてきたの。

キミ達は、この世界で生きるために、どう生きていくかを夢想するのではなく、真剣に検討したかしら？

この世界で始まった新しい人生で得た人達との関係をどう築こうか、と考えたかしら？

家族や友人、知り合い、隣人、上司、部下、ライバル。

キミ達2人、異世界転生者同士で関係を完結させていたら、安心だったかしら？

キミ達が、2人だけの繋がりを強くすればするほど、異質さと異端さが浮き彫りになり、周りの危機感を煽っていたの。

キミ達は、2人だけにされていることに気づくチャンスは、なかったかしら？

ホーマリーのヒーローという名称は、キミ達を称えるためのものではないと思うの。

ホーマリーは、キミ達とキミ達以外のホーマリー人を区別していたの。

何のために区別していたか、それが、キミ達の前世の死因。

キミ達の死因は、キミ達自身なの。」