フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1205.後ろに隠れていた男女の学生の前世は、異世界転生者で、ホーマリーのヒーロー。女子学生は、【神々の子ども達】という単語を口にしたの。

後ろに隠れていた男女の学生は、ボクではなく、ボクのお祖父様に思うところがあるようなの。

生前のお祖父様は、ホーマリーと関係があったのかしら？

「どういう意味かしら？」

「死んだのがガラン家先代当主だと知れ渡るまで、世界は何も変わらなかった。

あんたの祖父さんが死んだと知れ渡った途端、世界中で犯人探しが始まったんだ。」
と後ろに隠れていた女子学生。

「当然なの。」

ボクのお祖父様に限らないの。

貴族は、先代当主を死なせた犯人を野放しにはしないの。

何もしなければ、当主を引退したら殺しても問題ないというメッセージを送っているも同然なの。

「私達は、偉業を成し遂げたはずだった。

称賛されていたのに。

全部、台無しになった。

全部なかったことにされた。

私達の存在も全て。

あんたの祖父さんが、そこにいたから。」

後ろに隠れていた女子学生は、憤怒の相になっていったの。

ボクには、後ろに隠れていた男女の学生の感情の揺れがさっぱり分からないの。

怒るところ、どこにあったかしら？

「キミ達は、どこで何をして、誰にたたえられて、誰になかったことにされたのかしら？」

後ろに隠れていた男女の学生は、重大な何かを話そうとしているの。

「ホーマリーで、私達は、ずっとヒーローだった。

私達が、ホーマリーの魔法を発展させてきた。

私達が、神様と会ったという話をしたとき。

この世界には、【神々の子ども達】と崇められているやつらがいることを教えてもらった。

神様に会った私達は、【神々の子ども達】に会うことにした。」
と後ろに隠れていた女子学生。

【神々の子ども達】という単語を、今日、この部屋で聞くとは思わなかったの、ボク。

この部屋にいる学生は、【神々の子ども達】がこの世界からいなくなった後に生まれた世代なの。

知らないものを語ろうとすると、語り手の夢と希望と妄想になるの。

後ろに隠れていた男女学生の前世では、【神々の子ども達】がまだ、この世界にいらっしゃる時代だったということになるけれど。

【神々の子ども達】について語ろうとしているわりに、後ろに隠れていた男女の学生からは【神々の子ども達】への好意的な感情が伝わってこないの。

この世界に生きているなら、【神々の子ども達】へ悪感情を持たないの。

この世界の住民が【神々の子ども達】に、悪感情を向ける理由はないもの。

【神々の子ども達】に、会いたいときに会えるという考え方は、この世界の常識に当てはまらないの。

【神々の子ども達】は、この世界での穏やかな生をお望みだもの。

【神々の子ども達】に、人が何かを要求してはならないの。

異世界転生者の自覚があったなら、自身の異質さを知っていてもおかしくないの。

生まれた世界の常識を知ろうとしなかったのかしら。