フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1189.ダニラ侯爵家の宝箱と呼ばれ、エリル伯爵家当主の入り婿となり、人造人間の女子学生の生物学上の父、ハイゾが現れたの。

ボクが取り調べに呼んだ男子学生は、実父のハイゾに詰問口調なの。

ボクがいる場所は、コーハ王国の貴族学校内の一室なの。

コーハ王国の貴族学校は、学生以外の立ち入りを制限しているの。

ボク達、近衛別働隊も、学校内に入る手続きをしてから入っているの。

貴族学校の学生は、貴族の子息やご令嬢なの。

学内で、学生以外による事件が起きないようにしているの。

そんな決まりがある場所に、父親が突然現れたら？

罰せられるの。

罰せられるのは、部屋の中に突然現れたハイゾだけではないの。

ハイゾの家族も責任を問われるの。

ハイゾは、婿入りしているから、婿入り先のエリル伯爵家は、責任の追求を免れないの。

ハイゾと現エリル伯爵との結婚の条件が、入り婿になったハイゾの行動を、入り婿先が縛らないという取り決めがあったとしても。

エリル伯爵家は、入り婿ハイゾのしたことに無関係ではいられないの。

それが、貴族の結婚なの。

ハイゾの実家のダニラ侯爵家は、言わずもがな。

問題がある子息を野放しにするのは、貴族ではないの。

現れたハイゾは、片手の肘から先がない、後ろに隠れていた男女の学生を認識した後に、自身の息子を認識したの。

「なんで、2人はこんな目にあっている！お前がいながら！お前は、2人を守るのが仕事だろう！」

ハイゾは、自身の実の息子である、ボクが取り調べに呼んだ男子学生を責めたの。

「お前は、ぐずぐずするな。

すぐに手当てをするやつを探してこい！

この階に医務室は、ない。

ちょうどこの部屋の真上にある。

ぼさっとしないで、走れ！

2人をこんな目にあわせた犯人には、お前が分からせろ。」
とハイゾ。

ハイゾは、突然現れたにもかかわらず、周囲が気にならない様子なの。

ハイゾが話したいことを話しているの。

ハイゾの傍若無人さは、まるで、この場所がどこかを知っているかのよう。

貴族学校に通っていたら、内部構造を知っているのは不思議ではないけれど。

ハイゾは、自身が貴族学校にいることを不思議に思っている様子がないの。

実父ハイゾに責められている男子学生は、眉をひそめているの。

ボクは、ハイゾに好き勝手させないの。

今、ボクは、近衛別働隊総司令として取り調べ中なの。

ボクの邪魔をするのは、よろしくないことなの。

ボクの出番なの。

「この部屋は、ボクが使っているの。
キミは、闖入者なの。

先触れもなく入ってきたキミの名前を、キミは名乗るの。」

ボクは、ハイゾにびしっと言ったの。

ハイゾは、ボクを見ると、鼻を鳴らしたの。

「はあ？
こいつらが、大怪我しているのに？
名前だあ？
そんなもんどうだっていい！
お前が、この部屋を使っていたというなら、この部屋での状況をお前が話せ。」
とハイゾ。

「ハイゾさん。そいつなんです。そいつにやられました！」
と後ろに隠れていた女子学生。

「魔導具もとられました！魔導具は起動したのに、動かなかったんです。」
と後ろに隠れていた男子学生。