フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1170.人造人間の女子学生が語ることには、グルリダ・ローバウルの前世は不幸な王女だったから、今世では、結婚に妥協しない、ということなの。

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生は、グルリダ・ローバウルが感じた思いをそのまま話しているの。

グルリダ・ローバウルからの伝聞という形だけど。

女子学生が語る言葉には、女子学生自身の感想も感情も入っていないの。

メッセンジャーとしては、優秀なの。

一人の人としては、健全と言えるかしら？

「グルリダの前世は、異世界転生者だった。

異世界転生した、と気づいたとき、グルリダの人生は夢と希望に溢れていると思ったって言っていた。

でも、全然だったって。

グルリダが、前世で、異世界の知識を活かそうにも、前世の知識を使った品々は既に溢れていたんだって。

グルリダは、前世で好きだった音楽を持ち込もうとしたところ、許可がおりない歌は、歌うのを禁止されたって。

ドレスと宝石で着飾る以外は、窮屈でつまらない子ども時代だったって。」
と女子学生。

前世のグルリダ・ローバウルの周りにいた者は、前世のグルリダ・ローバウルが暴走して、この世界の平穏を壊し、国を乱すことがないように、手綱を手放さなかった。

優秀なの。

ひょっとしたら、しでかした異世界転生者がいた直後の時代だったのかしら。

異世界の歌、ということは、異世界の思想を持ち込むことになるもの。

慎重にもなるの。

一国の王女が口ずさむ歌なの。

この世界の実情に合わない歌詞を口ずさまれては、深刻な問題を引き起こすの。

恋愛観や倫理観、政治思想から、民俗的な考え方に至るまで。

身分違いの恋を王女が歌ったら、政治的に問題なの。

女子学生の語るグルリダ・ローバウルの前世の話に、部屋の中にいる全員が耳を傾けているの。

女子学生は、女子学生が話す言葉を真剣に聞いてもらって、受け入れられているのが嬉しくて、どんどん口が滑らかになっていくの。

「グルリダの前世は、窮屈でつまらない子ども時代が終わると、不幸な結婚生活が待っていた。

グルリダは、溺愛される系じゃなく、迫害される系の異世界転生をしてしまった。

王女様に生まれたときは、人生薔薇色だと思っていたグルリダは、成人してすぐ偏屈なおっさんと結婚させられた。

偏屈なおっさんは、グルリダを好きじゃないから、グルリダを大事にしない。

結婚したグルリダは、結婚する前より辛い人生になった。

こんな惨めな人生は嫌だと思ったグルリダは、思い通りの人生を送るために、もう一度、この世界で転生すると決めたんだって。

今度は、もっとのびのび出来て、誰にもとやかく言われることがない人生にすると決めたグルリダは、同じ世界で、狙った場所に転生するには、どうすればいいか考えた。

魔法があれば、何でもできるって気づいたグルリダは、苦労して思い通りに転生する方法を見つけた。

グルリダは、今度こそ幸せになる。

だから、グルリダは、結婚に妥協なんてしない。」
と女子学生。

女子学生は、グルリダ・ローバウルが、男性担当者と結婚しない理由を語り終えて満足しているの。

グルリダ・ローバウルが結婚しない理由を話しきった女子学生は、聞いている人は納得した、と考えているの。

女子学生以外は、グルリダ・ローバウルに関する暴露内容の危うさに考え込んでいるの。