フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1146.リッチェルがいなくなったら、女性担当者がボクに向かって発言したの。継承者がいない人造人間の技術を秘術としたローバウル公爵家の意思。

リッチェルに躱されて、リッチェル、アラン、バージニが出ていった出入り口の前に立ち尽くしていた女性担当者は、くるりと室内を振り返ったの。

「あなたが私達に禁止する権限はありません。」
と女性担当者。

「キミ、ボクと話をする気があったのかしら？」

女性担当者は、ボクの方に顔は向けているけれど、ボクを通り越して、学生の何人かに視線を合わせて、様子見に徹している学生を威武するの。

「不当な拘束には、厳重に抗議します。」
と女性担当者。

学生に対するパフォーマンスかしら？

それとも、本気かしら？

現状を不当だと本気で判断するなら。

女性担当者は、第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生の発言を額面通りに解釈しているの。

女性担当者は、シロ、ということになるの。

男性担当者は、無言なの。

男性担当者は、第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない家の者。

元ビーイット公爵家派閥、現在は、サージェ侯爵家がまとめている派閥の家の者。

第2王子派閥と第3王子派閥に後から所属し、派閥への帰属意識が高くない、女子学生の生物学上の両親の家と。

サージェ侯爵家がまとめていて、ビーイット公爵家に因縁がある、女子学生の養親である男性担当者の家。

どちらも、ローバウル公爵家とは、直接関わりがないの。

でも、派閥の中核にない家は、注目度が低いから、ローバウル公爵家との関わりは作ろうと思えば、作れるの。

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生の生物学上の両親と養親である男性担当者の家から、ローバウル公爵家に繋がるのは難しくても。

ローバウル公爵家が、3つの家に繋がりを求めたとしたら？

繋がりは、作れるの。

派閥の末端にいて、帰属意識が低い家や、腹に一物ある家は、狙っている者からすれば分かりやすいの。

貴族に限らないの。

切り崩し工作や、寝返りの働きかけは、個が集団を作ると発生するの。

裏も表も、人が暗躍する分野なの。

問題は、ローバウル公爵家の情報統制だけではないの。

ローバウル公爵家は、国の管理が行き届いていない可能性が大きいの。

ローバウル公爵家は、独自で何かをしようとしているの。

ローバウル公爵家は、創始者の王女殿下の遺言で、当主の実の娘が女公爵になるの。

現ローバウル公爵は、先代の実の娘。

ローバウル公爵の次代は、現ローバウル公爵の実の娘なの。

ボクが現ローバウル公爵母子に会ったのは、デヒルお兄様とご一緒した会議のみ。

会議での現ローバウル公爵母子は、嫡女が周りを振り回していたの。

ローバウル公爵家の現当主は、嫡女をいさめることを一切しなかったの。

公爵家当主としての命令は、現ローバウル公爵が出しているにしても。

ローバウル公爵家を動かす意思を持っているのは、ローバウル公爵家の嫡女じゃないかしら。

ローバウル公爵家の嫡女がボクを引きずり下ろそうとするのは、ボクに成り代わり、逆ハーレムを手に入れたいという目的があるからだけど。

目的に付随する効果を期待している何者かが、ローバウル公爵家の嫡女の後ろにいるとしか思えないの、ボク。

女性担当者は、限りなくシロに近いけれど、この件については、巻き込まれてもらうの。

国の監視下に入る学生は、鍛え直されるちょうどいい機会だと、甘んじて享受したらいいの。