フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1144.肉体関係がなくても、子どもが作れる？最近どこかで聞いたの。

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生の告白は、恨み言から始まったの。

「私は、母のお腹の中にいるときからの記憶がある。

だから、私は、生まれる前から、全部知っていた。

この世界の人間は、存在するに値しない、ろくでもない世界。

私は知っていたのに、知っていて尚、生まれてこなくてはならなかった。

私は、こんな世界に生まれたくなんかなかった。」
と第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生。

本人が生まれたくなかったなら、きっかけを作ったのは誰かしら。

「キミの生物学上のご両親を引き合わせたのは、誰かしら？
キミの生物学上の両親が出会うきっかけとなった出来事や人物については知らないかしら？

生物学上のご両親が深い仲になるには、協力者がいないと実現しないの。」

貴族のご夫人が、逢引をするのに、ご夫人だけで現地へ、というのは不可能なの。

侍女、護衛、執事などの目があるの。

使用人に裏切られないで、ご夫人が逢引できるということは、ご夫人と行動を共にする使用人がいるの。

ご夫人が、当主でないなら、使用人は、リスキーな行動をしていることになるの。

ご夫人がたまたま逢引相手に出会うケースは、ほとんどないの。

貴族の婚姻は、政略結婚が大前提だもの。

まともな貴族は、政略結婚を潰すような遊びはしないの。

ご夫人が自身で用意したわけじゃない逢引相手が来たら、それは、ハニートラップなの。

「生物学上の両親を引き合わせた人物は、さすがに知らない。

この世界には、誤解している人しかいないけれど、私が生まれる前から、私の生物学上の両親は深い仲なんかじゃなかった。

生まれてからも、仲が良かったことは一度もない。」
と第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生。

「男女の関係じゃなかったということかしら？

男女の関係にならずに、キミの生物学上の母君は、キミを出産したのかしら。」

コーハ王国が秘匿している情報に、似たような話があったの。

「私だって、実際に私が生まれたら可愛がってくれるかと期待した。

興味を持ってくれた、最初だけは。

生物学上の両親は、私が生まれる前は、毎日ウキウキしていた。

生まれてきた私を見て、がっかりした。

がっかりしたかったのは、私なのに。

先にがっかりしないでほしかった。」
と第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生。

がっかりした？

第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生という子どもを作った生物学上の両親は、生まれてくる子どもに何かを期待したのかしら？

「私の生物学上の両親は、互いに愛し合っていたから、私を作ったんじゃないということは、生まれる前から知っていた。

生まれてみたら、思っていたのとは違っていたと忌み嫌われるようになるのは、予想外だった。」
と第2王子派閥と第3王子派閥に所属しない女子学生。

女子学生が使う、作った、という単語は、男女の営みをさしていないのではないのかしら。

そうなると、可能性は、一つに絞られるの。

女子学生の存在は、秘匿されなくては、ならないものになるの。

女子学生の話を聞いてしまった、この部屋にいる学生と男女の担当者は、国の監視下にはいるの。